King's crest

黒崎憂斗

King's crest 本伝

序章 世界 ーSTORYー

プロローグ

 世界は災厄に覆われていた。

 

 それが何を意味するのか、誰もわからない。

 

 ただ、終わりなき絶望が広がっている。



 いつの頃だっただろうか。

 各地で、自然災害や紛争が起こり、人々が苦しんでいた。

 最初はとても小さなものだった。

 でも、気が付けばとても大きく、そして悲惨なものへとなっていた。

 いつしか人類は、この時代をこう呼んだ。



―――災厄の時代



 戦って、耐えて、支え合って。

 人類は、今日を精一杯生きていく為に、助け合ってきた。


 だけど、全ての人がなんて不可能だった。

 欺いて、奪って、そして陥れて。

 結局、自分ヒトを苦しめるのは人類ヒトであった。




 この世界がずっと続くのだろうか。

 何処かの場所で、力を持たない少年が恐れていた。


 皆が笑顔になりますように。

 何時かの時代で、少女は願いを空に伝える。



 誰かが必要だった。

 

 世界を変えるきっかけを与えてくれる、誰かが。


 未曾有の脅威に立ち向かえる、誰かが。


 多くの命を守って奪うことが出来る、誰かが。


 その誰かを、人類は「英雄」と呼んだ




 災厄の時代、人類は今日を全力で生きている。

 だけど、彼らは明日を見失って、過去を見続けている。

 そこに至る為に、世界は英雄を求めた。


 そして英雄たちも、己の使命を果たそうと、戦ってきた。




 一人の少年と出逢った、その瞬間から。



 これは、誰かの為の物語。

 残酷で美しい世界が記した、人類の可能性の物語。


 そして、「最後の英雄譚」。




―――――――――――――――――――――――――

 やあ、こんにちは。


 僕は、この物語を君に語り継ぐ、その役割を託された者さ。


 名前は……、そのうち教えるよ。



 

 さーて、ここから少し、先の話をしようか。


 これから君は、ここを目指して旅をすることになる。


 どうか、最後まで楽しんで欲しい。


 だからこそ、目的地ゴールは知っておきたいだろ?


 まあ、それが本当に物語の結末フィナーレとは、限らないけどね。

 



 それじゃあ、始めようか。

 

 この物語の先にある、壮大な戦い。

 



 その一片を…………。




―――――――――――――――――――――――――

 絶望に満ちた世界にて、人類は嘆く。

 

 滅亡の時が訪れた、最後の瞬間が迫ってきた。

 世界に刻まれた「終焉の刻」、その日が暁と共に告げられた。

 願いと祈りを、神々へと告げる。

 だが、神は人類の声に応えることはなかった。

 そして、空が漆黒に染まり、月が赤く輝きだすと、人類は理解した。



――世界は今日、終わりを迎えてしまう





 そして、時は訪れた。

 空の彼方、地の底から、未曽有の怪物が侵食してくる。

 怪物は、何度も人類を追いやり、そしてその命を奪ってきた。

 倒しても、祓っても、殺しても、怪物は絶えない。

 

 もはや、戦う者はいなかった。

 未来を望み、今日を信じ抜く者などいなかった。

 誰一人、救済を求めなかった。


 世界を陥れたのは、この災厄を起こしたのは、他の誰でもない。

 人類なのだから。

 故に、全ての人類は、自分達の運命を受け入れた。

 災厄に染まった世界で生き続けるぐらいなら、神の手によって星へと還るのが、何よりも幸福な最期なのだろう。

 人類は、生への執着も未練も忘れて、死という名の安息を欲した。

 多くの人類が、跪いて、諦めて、人類史の終わりを、ただ静かに待つのであった。






 それでも、世界は終わらない。

 災厄と絶望に染まった世界でも、まだ希望は残っていた。


 人類は、未来を絶対に諦めない。

 何度も明日を見失っても、その度に道を標した者がいた。


 人類の物語は終わらない。

 ここからが、人類の挑戦と言えるだろう。

 何故なら、彼らが其処にいたからだ。




―――我らは共に、この災厄を討ち滅ぼす




 それは、英雄の言葉だった。

 未曽有の存在に立ちはだかり、そして戦いを挑む者。

 そして、人類に寄り添い、未来を唱える者。

 

 彼らは、絶対に未来を諦めない。

 これまで何度も、世界が終ろうとしても、彼らはそれを乗り越えた。

 不可能を可能にして、人類の可能性を示した。


 

 

 そして、英雄を先導するのは、一人の少年だった。

 彼は、誰よりもこの世界を愛していた。

 同時に、この世界を誰よりも恐れていた。

 自分の中に刻まれた、全ての意志を、少年は剣に籠めて、戦っていた。

 彼は、災厄に向けて、己が意志を叫んだ。


「俺は絶対に、この世界を諦めない!」


 全ては彼から始まった。

 そして、彼はすべてを終わらせようとして、剣を握りしめる。

 一人の少年、いや英雄が、無限の災厄に挑んだ。

 そして、英雄は剣を掲げると、魂の籠った言葉を、盟友たちに告げる。


「我が友たちよ、今こそ……」




――――集え!




 英雄の言葉に答えて、七つの紋章が集った。

 紋章はそれぞれ、力を託した人物と共に、災厄へと向かっていく。

 彼らの手には、光り輝く紋章が刻まれて、神秘の力を解き放っていく。

 英雄たちは、それぞれの想いと宿命を告げた。




 炎の紋章、その継承者は告げる。

「人の強さは、勝利を志す心であり、其処へ至るまでの道のり」

 紅蓮の炎が、神々の身を焦がし、消えない傷跡を残す。


 水の紋章、その継承者は告げる。

「誰かに託され、誰かに託し、人は知識として生き様を記す」

 絶対零度の氷は、如何なる力も通さない壁となった。


 木の紋章、その継承者は告げる。

「自然に愛され、時に愛し、私たちは世界と一緒に生きてく」

 枯れ果てた大地に、小さな花が咲き、そして美しい草原となった。


 光の紋章、その継承者は告げる。

「信仰の心、そこには善も悪もなく、等しく人を強くする」

 優しくて、暖かくて、美しい光が人々を照らし出す。


 闇の紋章、その継承者は告げる。

「感情を戒め、時に寄り添い、人は強さの意味を知る」

 闇よりも深き闇黒によって、神聖なる力を切り裂かれた。


 空の紋章、その継承者は告げる。

「ただ一つの真実と向かい合い、人は一歩ずつ前へと進み続ける」

 吹き荒れる暴風と轟く雷鳴が、嵐となって空を舞う。


 龍の紋章、その継承者は告げる。

「己の覚悟を持って、如何なる脅威だろうと立ち向かえ」

 漆黒の咆哮が天へと昇り、叛逆の一撃を災厄へとぶつける。




 七つの紋章、その継承者たち。

 彼らは、全ての人類、そして世界に告げた。

 ただ滅びを待ち続けることも、救済を願うことも、人類には許されない。

 戦い、生き残り、そして笑い合うことこそ、人類に残された最後の結末であると。

 彼らの言葉は、まさしく「王の宣誓」。

 一つの偽りもなく、迷いもなく、力強く人類に希望を託す。

 そして、王の言葉、彼らと結んだ絆によって、英雄は最後の決戦を宣言する。



人類おれたちは、この意志によって災厄を越えて、未来へと旅立つ!」



 英雄たちは、これまでの全てを賭けて、無限の災厄へと挑戦する。

 そして、彼らに祈りを捧げる星の歌姫。

 無垢なる乙女の歌は、英雄たちの想いを世界へと伝える。


「届け、この想い。星々の彼方まで」


 世界に混沌を齎す存在と、運命に叛逆する英雄たち。

 

 これが、世界にとっての最終章



―――最後の英雄譚ラスト・クロニクル




 その戦いが、今、幕を開けた…………





―――――――――――――――――――――――――


 しかし、人類は知らなければならない。

 彼らが、ここに至るまでの道のり。その苦難と葛藤、そして祝福を。

 その始まりとなった出来事を、これから君に聞かせよう。


 それは、とある少年と少女の出逢い。

 ほんの僅かな冒険譚であり、世界にとっては始まりの英雄譚。

 君は、この物語を最後まで見届けられるか……。




 それでは始めよう。

 最後の英雄譚が始まる少し前、まだ世界が英雄を求めていた時代。

 少年が戦い、少女が歌った、最初の物語。




 さあ、僕と一緒に、物語を楽しもう

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