第296話 会談
タカトウの艦が第2魔導機関を停止し、ゆっくりと地上に降りた。
そのまま第1魔導機関も停止させて、完全に沈黙することとなった。
『魔導バースト反応消失。
爆発は回避されました』
「これで安心して話しが出来るな」
「申し訳ない。無関係のこの世界の人たちを巻き込むところだった」
タカトウは、俺を魔導バースト爆発に巻き込むところだったと気付き、謝罪をした。
迂闊なだけで根は悪い人間ではないようだ。
「つまり、あの陸上艦を修理したいのだな?」
「そうだ」
「修理したらどうする? 元の世界に帰るのか?」
「我らはMAOシステムと交戦状態にある。
友軍がMAOシステムと交戦中のはずだ。
出来れば直ぐにでも援護に向かいたい」
その気持ちはわかる。
だが、それはMAOシステムにこの世界を知らせることにはならないか?
「どうやって戻る?
まさか
「そのつもりだ」
「その
「我らの艦隊が
「つまり、守り切れなかったら、次はこの世界ということか?」
「そうなってしまう。現在
それを解除するには、向こう側のMAOシステムの殲滅が必要だ」
そこらへんの事情は真偽不明だが、理屈的には合ってそうな気はする。
「わかった。行動制限は掛けさせてもらうが、陸上艦の修理のためのドック使用は認めよう」
「そのためには、
作業ゴーレムは我が艦のゴーレムをあてられるが、
「そこはこちらが用意した。
「ほーい。陸上艦を直せば良いのね」
「ああ。
電脳、修理部品の在庫はあるか?」
『ございます。倉庫を解放いたします』
ああ、そこらへんの倉庫の中身はガイアベザルの奴らに持って行かれてなかったか。
「ありがたい。これなら修理も可能だろう」
タカトウも修理の目途が立って喜んでいた。
このまま作業に入ろうとタカトウと共に指令室を後にしたところで、事件が起きた。
「クランド王、死ね!」
ダダダダダ!
それは機関銃の音だった。
フリードリヒがタカトウの部下から銃を奪って俺たちに向けて撃って来たのだ。
この世界の人間は銃という存在を知らない。
そのため、タカトウの部下もまさかフリードリヒが銃の使用方法を知っているとは思わずに油断したようだ。
「タカトウ!」
タカトウの部下のキサラギが叫ぶ。
フリードリヒの射線が俺とタカトウを舐めたからだろう。
ズバッ!
それを見たタカトウの部下がフリードリヒに体当たりをして確保、ボコボコにした。
そして俺たちは……。
「奴が俺に悪意を持っていることは判っていたが、まさかここまでするとはな。
タカトウ、無事か? 一応魔法障壁はそっちまで張っておいたが?」
「ああ、すまない。助かった」
タカトウは、自分が連れて来たトラファルガー帝国の皇子が、まさかこんな暴挙に出るとは思ってもいなかったようだ。
「俺は、クラスA管理者だ。電脳、俺を助けろ!」
その時、フリードリヒが、まさかの情報を叫んだ。
だが、第6ドックの電脳はフリードリヒを無視した。
それは、クラスS管理者の俺を殺害しようとしてことで、電脳に管理者権限を抹消されたからだった。
「おまえ、転移者、いや、その顔だと転生者か?
だから銃の使い方を知っていたんだな!」
「そうだ、お前さえ居なければ俺がこの世界の支配者だったのだ!」
どうやらこの男、歪んだ性格をしているようだった。
「タカトウ様を撃つとは許せん!」
「あ、待て!」
ダーーン!
俺が止めるよりも早く、タカトウの部下がフリードリヒを撃った。
タカトウの部下だ。俺の制止など聞くわけがなかった。
そして、俺も自分以外に急に魔法障壁を張るなど一瞬のことで無理だった。
フリードリヒは即死だった。
「あー、またややこしい原因を作りやがって!
タカトウ、この施設の中ではお前の部下も武装禁止だ!」
「すまない。
こらお前ら! 命令あるまで武器の所持を禁ずる!」
「トラファルガー帝国にはタカトウが対処しろよ。
俺は知らないからな!」
まあ、それでタカトウとトラファルガー帝国が戦争になっても困るんだけどな。
クラスAってことは勇者扱いだったわけだが、こんなにあっさりやられるとはな……。
「艦は第1魔導機関だけで移動させろ。
「ほーい」
こうして俺はタカトウ艦の修理を手助けすることになった。
共通の敵、MAOシステムに対処するために。
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