第242話 超長距離砲撃
『高速飛翔体、第二射来ます』
ドーーーン!
「バイゼン共和国の戦艦に直撃しました!」
どうやら確実に位置を捉えていて、しかも初弾の情報で弾着修正を加えて来ている。
いったいどういったカラクリなのか?
「レーダー波や魔力波の反応は?」
『レーダー波ならびに魔力波の反応なし』
光学観測のたまものということか。
『高速飛翔体、多数接近、全力斉射が開始されたもよう』
「バイゼン共和国の戦艦は何をやっているんだ!?
回避しないか!」
ドドドーーーーーーーーン!!!
どうやら迎え撃つためにとっていたT字戦法が仇となり、自由に回避出来ないようだ。
それに有視界の外からの超長距離砲撃に混乱しているのだろう。
それにしても、いったいどうやって?
トラファルガー帝国による水平線の遥か彼方からの超長距離砲撃……。
このままでは一方的に嬲り殺しに合って終了だろう。
もう隠しておくわけにはいかないか。
この海戦でバイゼン共和国が敗れれば、次は西の大陸の我が国がターゲットとなる。
出し惜しみしている場合ではない。
「
地平線の向こうが見えないならば、
待てよ? もしや敵艦体も……。
「アクティブレーダー、小型飛翔体に対するフィルターを解除!
魔導レーダーには生き物も映ってしまう。
特に対空レーダーには大量の鳥が映ってしまうことがある。
その情報は必要な情報を埋もれさせてしまう場合があるため、あえて小型飛翔体――砲弾サイズ以下――は情報を捨ててレーダー画面に表示していないのだ。
まあ、サイズ以外にも飛行速度とかで細かく設定されているようだが、ここでは触れない。
「大型の鳥が飛んでいます」
ドドド―――――――――――――――ン!!!
また戦艦に直撃弾だ。
予想が当たっているならば……。
「鳥の位置は?」
「変わりません」
これで確定だろう。
トラファルガー帝国は鳥にバイゼン共和国の戦艦と弾着位置を観測をさせているのだ。
誘導魚雷に魔物の感覚器を使用していたぐらいだ。
鳥を使役または改造するなどわけないだろう。
「対空重力加速砲、大型の鳥を撃て!」
ブン
空気を震わせる音が鳴る。
対空重力加速砲が発射されたのだ。
ドドド――――――――――ン!!
また戦艦に直撃弾。
そして大型の鳥も落ちた。
「
この間に
タカオの後部甲板から
『高速飛翔体観測されず。敵艦隊からの砲撃止まりました』
「やはりそうか。敵は大型の鳥に弾着観測をさせていたんだ!」
動いている標的を観測する手段を失ったのだ。
修正を加えずに撃っても無駄弾になると判断したのだろう。
大型の鳥に弾着観測や索敵をさせる仕組みは解からない。
もしかすると鳥をドローンのように使っていたのかもしれない。
そもそも本物の鳥かどうかも判らない。
その鳥が見た或いは運んだ観測機器の情報を、何らかの仕組みで射撃と組み合わせたのだろう。
つまり、鳥を落とせば超遠距離砲撃が使えなくなるということだ。
『
アクティブレーダー中継します』
レーダー画面の探知エリアが広がる。
そこには水平線の彼方に遊弋するトラファルガー帝国の大艦隊が映し出されていた。
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