第228話 乗組員拘束
「わんわん!(ご主人になにする!)」
プチが怒って潜水艦の内部に突入しようとした。
「プチ、待て!」
プチがピタリと停止する。
プチは待てが出来るのだが、時と場所を選ばないとかえって危ないこともある。
幸い、今回は潜水艦の内部に突入する前だったので問題なかった。
「まだ危ない。無力化してからだ」
「わうん(ごめんなさい)」
反省するプチも可愛い。
と、気を取り直して、どうやって乗組員たちを無力化しようか……。
俺は爆発で破損した艦首を錬金術で修復した。
飛び散った破片はもう海の底なので、気密が確保できる程度にとどめたが。
そして、その艦首に向けて光魔法を撃ち込んだ。
ゴーレムが持っているレーザーみたいなものだ。
せっかく気密を確保した潜水艦の艦首から艦尾にかけて穴が開いた。
「【スリープミスト】」
その穴に、眠りを齎す霧を発生させる魔法をぶち込む。
何人かはレーザーに巻き込まれたかもしれないが、これで艦内の乗組員はほとんど眠りについたことだろう。
なぜ穴を開けたのかというと、気密された所にいくら気体を送り込んでも気圧が上昇するだけで通り抜けることが出来ないからだ。
がっつり通り道を開けて眠りを齎す霧をぶち込んだというわけだ。
「プチ、戦闘準備。殺さないように。
守備隊は、身柄確保だ」
「わん(任せて)」「はっ!」
まだ気密の保てている場所があったかもしれないので慎重を期してプチに協力を要請する。
爆発に驚いて駆け付けた守備隊には乗組員の身柄拘束を頼む。
「【選択収納】生物以外」
俺はインベントリに潜水艦を収納した。
その際に、生物を除外するように条件を付けたのだ。
これにより、潜水艦内の生物だけを残して潜水艦を収納できるのだ。
潜水艦が消えてしまい、その場の空中に取り残された乗組員がバタバタと落ちて来た。
「【エアクッション】」
俺は空気のクッションで落ちて来た乗組員が怪我をしないように守ってやった。
その中には眠っていない者たちが何名かいる。
おそらく機関室とかの気密が保てていた部署の人物だろう。
「プチ、行け」
「わん」
プチが高速移動で駆け抜けると、眠っていなかった者たちの意識が刈り取られていく。
おそらく駆け抜ける瞬間に軽い電撃を当てていったのだろう。
さすがプチだ。
「全員、武装解除のうえ拘束。幹部と思われる人物のみ営倉に収監しておけ」
その他の乗組員は、全員手足を拘束して後部格納庫前に避けておく。
タカオは乗組員が少ないので、俺とプチが【レビテーション】で運ぶ。
「よし、戻すぞ」
俺は潜水艦を空いた後甲板に戻すと、とある錬金魔法を使った。
「【現状回復】」
これは刃こぼれを起こした武器などを破損前に戻す錬金魔法だ。
時空魔法の一種らしく、物の時をある一定時間前まで戻すことが出来るのだ。
俺は潜水艦を錬金術で気密を保つ前、つまり魚雷が爆発した後に戻した。
なぜ、爆発前に戻さないかは理由がある。
状態が違いすぎると魔力をバカ食いするのだ。
まあ、俺の魔力量ならば問題ないと思うが、倦怠感などはあるため、そこまでする必要性を感じなかったのだ。
これで乗組員の武装解除と拘束が終わった。
尋問はバイゼン共和国に任せるとしようか。
とにかくタカオは人が足りないので、面倒な仕事は押し付けてしまおう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます