第160話 ルナトーク復興計画
ルナトーク王国の復興は順調だった。
西側の国境には北の帝国の侵入を阻む堅牢な壁と要塞を構築した。
これも俺が魔導の極の土魔法を使ったので、簡単なお仕事だった。
商国と接する南側の国境には大河が流れており、陸上艦でなければ橋以外に国内へと侵入する手段は存在しない。
更に、橋のかかっている箇所にも要塞を設置したので、そちらを北の帝国の陸上艦が迂回しようとすれば、各要塞の長距離魔導砲が狙い撃つ。
更には2個戦隊10艦の戦闘艦が国内を遊弋し防衛にあたっている。
俺はズイオウ領にいるルナトークの民の帰還を認め、輸送艦によるピストン輸送も開始した。
民が帰るというのことは経済を自立させなければならない。
幸い住む場所はある程度街が再建されているため問題はなかった。
だが、食料だけは別だ。
ズイオウ領から食料を運ぶか、ルナトークで生産するしかない。
北の帝国が奴隷を移民させ農業を行わせていたが、それが収穫出来るのはまだ先だった。
そこで俺は、第13ドックで手に入れた食料工場をルナトークにも建築することにした。
動物性のタンパク質ならば、魔法陣から生み出せてしまう便利工場だ。
その操業エネルギーである魔力も、俺が燃料石に魔力を注入すれば簡単に用意出来る。
とりあえず自立できるまでは、ズイオウ領から穀物を送ろう。
そのための輸送艦が海岸道を行く。
海岸道の南部はアルペン伯爵領なため、自由航行が可能だったが、北部は未だ商国領だ。
俺は商国に条約を破られたことを知りつつ、商国の介入が無いのを良いことに輸送艦を勝手に通行させている。
仮にもし商国から文句が来たならば、堂々と海上を通ってやるつもりだ。
海は商国の領土ではないので、俺の国が領有を宣言しても良い。
逆にもし商国が海の領有を主張したならば、領有権を争い、武力による実行支配をしてやる。
そうなると商国は海上貿易をするために俺の国の許可が必要になる。
あくどい手だが、それ相応のことを商国がやってくれたのだから手加減する気はない。
イスダル要塞には1個戦隊5艦を常駐させる。
イスダル要塞の1個戦隊は対商国の戦力であり、商国を越えて北の帝国が侵入して来たならば、ズイオウ領から2個戦隊が応援に駆け付けることになる。
更にルナトークの2個戦隊も背後を脅かすことになるので抑止力としては万全だろう。
さて、残る1個戦隊は、リーンワース王国で北の峡谷と呼ばれる大峡谷に向かう。
この大峡谷の先には砂漠地帯と旧キルト王国があり、我らの解放を待っている。
その第一歩としての橋頭保を北の峡谷の出口に造るつもりだ。
第13ドックでは、商国にて撃墜した陸上艦の修理が始まった。
それが戦力化出来たら、一気にキルト王国も奪還する。
それまでに北の帝国が戦力を増強していなければ良いのだが……。
北の帝国が第13ドックなみの遺跡を手に入れたとなると、時間を与えるべきではないのだ。
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