第139話 戦力の集中
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短いので138話も同時掲載です。
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そこは旧ルナトーク王国王城謁見の間だった。
その国王しか座ることを柚須されていない玉座に、ガイアベザル帝国旧ルナトーク王国占領軍司令で主力艦隊司令でもあるゲーベックが座っていた。
まるで王を自称するかのような行動に、ペリアルテ商国から逃げて来た駐留軍の幹部たちは困惑の色を隠せなかった。
彼らの代表としてペリアルテ商国派遣軍分遣艦隊司令のダッソーが報告をしていた。
「それで商国を放棄して撤退して来たというわけか」
「はい。各個撃破されるより、我らは数の論理で敵を叩き潰すことを選んだのです。
敵国の名はキルナール王国。
大型陸上戦艦(クランドの言う巡洋艦)が2艦、小型陸上戦艦(クランドの言う駆逐艦)が3艦の計5艦を運用しています。
その全艦が魔導砲を使用可能と思われます」
ゲーベックは、ペリアルテ商国を放棄して撤退して来た分遣艦隊司令ダッソーを蔑むような目で見ていた。
本国の主力艦隊が敗れた今、占領地を維持するためにゲーベックも戦力が欲しいところだったのだが、商国に派遣された分遣艦隊2艦が増えたとして、大して役に立つわけでもなかった。
かえって敵の目を
だが、ゲーベックはそんな腹の中を見せることなく、ダッソーの行為を称えた。
「その意気や良し。我が軍の指揮下に入り存分に戦ってほしい」
ゲーベックは、その言葉とは裏腹に分遣艦隊を囮として、主力艦隊は何処に行動するべきかと思案するのだった。
「キルナール王国はルナトークの姫を娶った王による正当後継国家を自称しております。
奴らの目的はルナトークの解放、つまりここの奪還でしょう」
ダッソーは商国のスパイから得た情報により、敵国の目的がこの地であるとゲーベックに伝えた。
つまりダッソーたちが逃げて来なくても、敵国はこの地を目指してくるというわけだった。
「たった5艦でか?
(しかし、彼の国には帝国主力艦隊が15艦がやられ、イオリの調査兵団も10艦やられたという。
侮るわけにはいかんか)」
「奴らには陸上戦艦や魔導砲を修理する技術があるのです。
その5艦のうち4艦も、我らから鹵獲した艦を修理運用しているのです」
その事実にゲーベックは嫌な予感しかしなかった。
帝国主力艦隊の15艦のうち3艦は曳航されて帝国に戻ったが、残る12艦は鹵獲されたと見て良かった。
その鹵獲運用されている4艦も、どうやら調査兵団が失い鹵獲された艦らしい。
調査兵団はさらなる損害も出し、合計10艦も失っているのだった。
それらが修理され目の前に現れるなら、戦力は簡単に覆ってしまうだろう。
「時間の勝負となるか」
ゲーベックは悟った。
今しか勝てる要素が無いと。
敵国が新たな陸上戦艦を修理し配備する前に、今正面にいる5艦を叩いておくべきだと。
魔導砲搭載艦が12艦も、いや、調査兵団の艦も含めれば、合計22艦が敵として現れる。
それに敵国が所有している大型戦艦が加われば、自分の艦隊の22艦を上回ってしまう。
数では互角だが、その全てが魔導砲を撃ちてるとなると勝ち目など無かった。
「敵艦が少ない今しかないな。
我らは敵艦隊に艦隊決戦を挑む。
重装甲艦と分遣艦隊の防御魔法陣の安全装置を解除しろ。
この一戦のみ持てばよい」
旧ルナトーク王国占領軍主力艦隊司令ゲーベックはクランドの読みとは真逆に戦力の集中を選んだのだった。
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