「フルートとハープのための協奏曲」 モーツァルト

<タイトル>


フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299(297c)


<作曲者>


ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト


<おすすめ盤>


ジュゼッペ・シノーポリ(指揮)


フィルハーモニア管弦楽団


<解説>


 モーツァルトが家庭教師をしていた貴族の娘さんがハープを演奏していて、その父親はフルートを愛好していたんだとか。


 そこでモーツァルトは、なかば強制的に書かされるハメになったそうです。


 いやいや作曲してこの完成度なのかというところが、さすがの天才モーツァルトですね。


 とにかくオーケストラにフルートとハープという難しい組み合わせにも関わらず、見事に調和させることに成功しています。


 とても構造的に書かれているのが特徴で、複数の音型がパズルのようにがっちりとはまり込んでいるのですね。


 ひょっとしたらモーツァルトのアイデアだったのかもしれませんが、うまいやり方があるものです。


 特に第二楽章が有名ですし、彼の音楽は初見でもたいてい聴けてしまえるのがすごいと思います。


 時代を越えるキャッチーさと言いますか、それだけのポピュラー性があるのですね。


 おすすめはあえてというか、モーツァルトの録音が少ないイメージのあるシノーポリ盤です。


 シノーポリは音楽家であると同時に精神科医でもあった異色の経歴の持ち主ですが、もしかしたらこの曲の構造的なところに何か思うことがあったのかもしれません。


 彼の演奏はよく「解剖図」と揶揄されましたが、この録音もまさにそんな感じです。


 抒情的なモーツァルトを聴きたい方にはしっくりと来ないかもしれませんが、たまにはこういうカチッとした演奏も悪くありません。


 モーツァルトの暗部を抉り出そうとしているような気がして、なかなかハラハラする名盤です。

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