音声ログ6 最後の戦い
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◆
≪諸君!我々はついにこの時を迎える事が出来た!思えば苦難の時代であった。いや、我々の受けた痛み、犠牲を考えるならば、苦難という言葉では表せきれないだろう。しかし、それも今日終わる!終わらせる!今日こそ、戦争に終止符を打ち、新たな明日を作り出すのだ!諸君らの健闘を祈る!以上だ!≫
『元帥も気合入ってるな』
『入れ過ぎて倒れなきゃいいが』
『特務と直接関わらなきゃ大丈夫だろ』
『その特務は?』
『どうやら先行して対空陣地を叩いてるみたいだ』
『流石だ』
『しかしどうやって降りたんだ?』
『知らん。特務だからどうにかしたんだろ』
『それもそうか』
『よし!第1強化兵中隊行くぞ!』
◆
『元帥閣下。作戦は順調です。敵対空網による攻撃は微弱、ほぼ無傷で第1降下は成功しました』
『特務だな。よくやってくれたものだ。散々頭を痛めたが、やはり彼無くして今大戦の勝利は無かった』
『はっ』
『よし、第2次降下を始めさせよ。敵は待ってくれんぞ』
『はっ!』
◆
『こちら第1きょう、じゃなかった、第1機動中隊!特務と合流した!繰り返す!特務と合流した!』
『降下は全て完了したか?』
『いえ特務!現在第3次降下の準備中です!降下しているのは2次までです!』
『分かった。危ないぞ』
『うおっ!?ありがとうざいます!』
『確か、戦車の降下は第3次だったな?』
『はいそうです!』
『よし。対空砲はもういいだろう。対戦車用の防衛機能を破壊する。ついて来てくれ』
『サーイエッサー!行くぞ野郎共!』
『いや、少し待て』
『はっ。な、なんだあれは!?』
『何で戦艦が浮いてるんだ!?』
『タコ共め!ここは大気圏内だぞ!』
『艦隊に、衛星軌道からの爆撃が可能か聞いてくれ』
『はっ!………ダメです特務!敵の宇宙戦闘機が襲来中で、地表を狙っている余裕はないと!』
『分かった。俺があれを落とすまで、第3次降下は中止させろ。戦車ではいい的だ』
『はっ!しかしどうやって?』
『宙からだ。揚陸艇を一つ借りる』
『は?』
◆
『おやお帰りなさい。この混戦中に揚陸艇で帰ってこれるのは流石ですね。しかし、面倒な隠し玉が出てきましたね』
『よくもまあ、戦艦を大気圏内で浮かそうと考えた』
『全くです。しかし、どうするのです?大気圏内を飛行可能な戦闘機は、全て出払ってますよ?』
『突入ポッドの予備はあるな?』
『ありますが、まさか……』
『揚陸艇は遅すぎて落とされるからな。突入ポッドで降下して乗り込む』
『一応聞いておきますが正気ですか?計算なんかしなくても分かります。不可能ですよ?』
『会った頃に言っただろう。0%も不可能もこの世に無い』
『嫌なこと思い出させないでくださいよ。あの時のせいで私バグったんですから』
『きちんと現実を受け止めれなかったお前が悪い』
『全く…。準備出来ましたよ』
『行ってくる』
『はいはい』
◆
『特務はどうやってあれを落とすんだ!?』
『知らん!とにかく今は防御だ!』
『おい見ろ!突入ポッドが降って来るぞ!』
『馬鹿なこと言うな!ここは最前線なんだぞ!』
『中隊長!自分の目は強化レンズだと前に言ったはずです!』
『丸ごと取り換えてこいとも言ったはずだ!』
『中隊長!ポッドが戦艦の上に直撃しました!』
『なら特務だ!』
『てめえこの野郎!今度という今度は!』
◆
『当てが外れたな。この様子では、オートメーション化してないのか。1人では動かせんな』
≪化け物だ!化け物がやって来た!≫
≪馬鹿な!?≫
≪撃て!撃て!≫
『仕方ない。撃破に切り替えるか…。いや、待てよ。落ちる所くらいは調整できるか?』
◆
『中隊長!敵戦艦が火を噴きました!』
『やはり特務だな。だがなんか挙動が変じゃないか?』
『ですね』
『えらく後ろに…』
『あの辺は、敵の中枢付近じゃ…』
『だよな』
『おいおい落ちたぞ!』
『特務はどうなった!?』
『死ぬわけないだろ』
『それもそうだな』
『戦艦も落ちたなら、第3次降下も出来るな。艦隊に隙を見て降下させろと伝えろ』
『はっ!』
◆
『元帥閣下。第3次降下の準備が完了しました』
『よし、降下させろ』
『はっ』
『星系連合はどうか?』
『かなり苦戦しているようです。迎撃も幾つかすり抜けられているようです』
『こちらはリヴァイアサンがあるからな…』
『はっ。ですが…』
『ああ。タコ共の施設に、ちょっかいを掛ける暇がないならそれでいい。幸い我々だけでも有利だ。あとは予定通り、施設をすべて破壊すればいい。こちらにはクローン関連は不要だ』
『はっ』
◆
『ふむ。ノックには派手だったな』
≪落ちた戦艦から何か出てきたぞ!≫
≪そんな!?災い!?≫
≪奴を!災いを殺せ!≫
≪災厄だ!怪物だ!≫
≪死の神!悪魔!≫
『もう少しまともな呼び方をしろ』
◆
『元帥閣下、明らかに敵の動きが鈍っています。恐らく、敵中枢に乗り込んだと思われる、特務大尉の活躍かと』
『うむ。本当に終身名誉元帥になるかもしれんな』
『ご冗談を』
『いや、流石に儂も疲れたから、彼が就いてくれるなら喜んで譲るぞ。本当に疲れたから。特に戦争後半。勝ってるのに。友達は胃薬と頭痛薬だし』
『心中お察しします…』
◆
≪6番!あってはならない者がもうすぐ来る!ぐぎゃ!?≫
≪3番!?≫
『邪魔するぞ』
≪おのれ!禍々しき者め!ぐげっ!?≫
『1番は、お前達のトップはどこだ?』
≪誰が言うか!ぎゃっ!?≫
『……地下か』
◆
『第18歩兵小隊行け行け!タコ共は総崩れだ!』
『第187偵察中隊、目標地点に到達。敵攻撃微小』
『補給を済ませろ!ここが腹の括りどころだ!』
『第3戦車隊、カブトムシの撃破に成功』
『げ!?なんでこの激マズレーションしかないんだ!?』
『美味いのは皆取っちまったんだよ!』
『特務しか食って無い奴じゃん!』
『第2歩兵大隊、大通りを確保中。増援の必要なし』
『ゴーゴーゴー!』
◆
≪よくも…よくも!≫
『1番だな?そしてその奥が、例の装置がある部屋か』
≪終わりをもたらす者!貴様さえ!貴様さえ!≫
『始めたのはお前達だ。終わりまでお前たちの都合で決められてたまるものか』
≪死ね!ごぼっ!?≫
『言ったはずだ。お前達の番だと』
≪ひゅーっ、ひゅーっ。馬鹿な…我々は…最も強き者の…後継者…最も強き者が…ごほっ。全てを支配して…何が悪い…不要なのだ…我々を作って…愚かにも…使おうと思った者も…ごぼっ。我々よりも…弱き者も…すべて…ひゅーっ。貴様だって…貴様だってそう思ってるだろう…ぐふっ≫
『ふん。生憎だが考えた事も無い。たった一人で、何を成すというのだ?おしゃべりは終わりだ。装置は……っち』
≪ふ、ふふ。システム"預言者"に…我々が敗北した場合…この星を破壊するよう…ごぼっ。命令してある。さて…その自壊因子の…装置のプロテクトを解くのと…星と共にお前が死ぬの…どちらが早いかな?≫
『元帥閣下、特務大尉です。敵が我々を星ごと爆破しようとしています。至急、全軍退避を』
『分かった。君も急ぎたまえ』
『いえ、タコの自壊因子の装置を起動しなくてはいけません』
『なに!?間に合うのだろうな!?』
『分かりません。ですがやらなければ、まだまだ兵の血が流れるでしょう。タコの残党を滅ぼすまでに、千も、万も』
『それで君を失っては元も子もないだろう!急ぎ離脱を!』
『そうは思いません。私はあくまで1人なのですから。通信を終わります』
『待て!待ちた…』
『さて、ここが勝負どころだ』
≪ふふっ…先に…地獄で待っているぞ…………≫
『100年待つとは暇な奴だ』
◆
『元帥閣下!星の爆発の兆候を確認!もう時間がありません!』
『何かが星から離脱した形跡は!?』
『ありません!』
『大規模な電波を確認!例の自壊因子を伝える電波だと思われます!』
『特務やってくれたか!』
『ですがもう時間が!』
『急げ!急げ特務!』
『観測したエネルギーが臨界点に達します!』
『馬鹿な!?それでは!?』
『爆発します!』
『総員対ショック態勢!』
『ぐうううう』
『うわああああ!』
『損傷知らせい!』
『本艦、並びに艦隊に被害ありません!』
『特務は!?』
『……離脱した形跡…ありません…』
『馬鹿な…』
◆
≪こんにちは皆さん、大統領です。先月に我々の勝利を祝ったばかりなのですが、残念なお知らせがあります。あれから一か月、軍は特務大尉の帰還、並びに生存が絶望的であると判断しました。しかし、私には特務大尉が死んだなんて信じられません。皆さんもそうでしょう?そのため軍は、特務大尉を戦死ではなく、戦闘中行方不明、MIAに認定しました。いつか、いつでも特務大尉が帰って来られるように。最後に特務大尉を称えましょう。彼に聞こえるように。特務!特務!特務!≫
『特務!特務!特務!』
『特務!特務!特務!』
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