第121話 ここは???

「……」


気が付くと、浮遊感に包まれていた。上も下も無いうえに、明るくも暗くも感じない中途半端さ


「気が付いたか?」


声をかけてきたのはミカエルだった


「おぬし……なぜここに?」


「それはこっちのセリフだ。なぜおまえが魔界に居るんだ? 地界に行ったはずだろ?」


「我は転移陣で……そうだ! 飛ばされたのだ! 早く戻らねば!」


「なんだ、自分の意志じゃなかったのか。それで、どうして戻る必要があるんだ?」


「我が8尾を倒さねば、誰が倒すというのだ」


いや、エリザなら倒せるが自主的にやるかどうかは分からぬ


「ここには、お前が待ちに待った強者が誕生しているぞ。だからここに留まったらどうだ?」


「何だと?」


そもそも我は戦う相手が居なくなった世界に飽きて、強者が育つまで自分に封印をかけていたのだ


「ならば、地界の問題が片付いたらこちらに来る。だから待たせておけ」


「もういいだろ? 地界なんて。それより、早く俺と一緒に戦いに行こうぜ」


「おぬし、ミカエルではないな! アイス・プリズン」


「ちっ、なぜバレたのじゃ!」


ミカエルは蜃気楼のように溶けて消え、代わりに8尾が残った


「あ奴が我と一緒に過ごしたいなどと言うものか。それに、お主からはあ奴ほどのプレッシャーを感じぬ」


「世界を混沌に陥れる手伝いをさせてやろうというのに。じゃが、わらわとてうまく行かなかったときの保険は掛けてあるぞ」


8尾が呪文を唱えると、我の手足に光の輪が現れてはめられた。とたんに我の全身からエネルギーを吸い取られる感覚があった


「そのエネルギーを魔法陣に使用してやるのじゃ!」


「なんだと! くそっ、壊れぬ!」


我は光の輪に攻撃するが、全く壊れる様子はない


「無駄じゃ。お主の魔力を使って自己強化されている。さあ、死ぬまで魔力を搾り取ってやるのじゃ」


まさか我が負けるとは……。過去にも絡め手で我に挑んだものも山ほど居たが、ことごとく打ち破っていた。だが、こんな手は初めて見る。我の魔力をもってして壊せない枷など……


(おい、マオ! 聞こえるか!)


その時、頭の中にノロイの声が聞こえた

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