第73話 雪男のトト

テットは皆からいままでの流れを聞いて考え込む。そして、何か思いついたらしくバッと顔を上げた。


「だとすれば、トトと会うのはきっと雪山ね」


トトは雪男なのだそうだ。あるクエストで退治に行ったけど、会ってみると会話はできるし優しいし力持ちだったそうで、たまたま通りかかった商人が驚いてモンスターと思い込み、クエストを発注してしまったそうだ。


「どちらにしろ、そっちのパーティに任せるよ」


ノロイはさっさとチック達と別れて男に戻る手段を探したいようだ。


「そう言えば、食用キノコを見つけたわよ?」


テットがそう言うと、腰の布袋からキノコを出した。紫と緑のマダラ模様という、食欲のわかない色だ。


「不気味な色だな」


「そうね、私たちの故郷にも無いキノコだから、珍しくて取っておいたけど……食べる?」


ノロイはしばらく迷った結果、藁にもすがる思いでキノコを食べる。そして、案の定バタリと倒れた。


しかし、目的の効果はあったらしく姿はみるみる男になっていったが、顔は青ざめている。


「ミドル・ヒール」


ヒールをかけたが、効果は無いようだ。見た感じ毒でもなさそうなので時間で回復してもらうしかないか。


「これはしばらく寝かせておくしかないかな?」


チックはそう言ったが先を急ぎたい。離れた仲間が心配だ。……我が仲間の心配か、自分で言うのもなんだが変わったものだな。昔は自分さえ楽しければよかったのに。


「我が担いでいくから先へ急ごう。ここなら探査できるだろう。ソナー」


我は探知魔法で階段を見つけると、ウィンド・フライで飛んでいった。そして、チックを先頭に階段を降りると、まるで待っていたかのように雪山だった。


「そうそう、ここよ。ここにトトが居たのよ」


テットが雪山の洞窟を指さすと、のそりと大きな毛むくじゃらの雪男が現れた。


「やっぱり居たわね。トト、探したわよ」


「すまない」


トトはそう言うと、大きな手で頭をかいた。

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