第63話 スイカ退散!
我はスイカをウォーター・ボールで閉じ込める。水に覆われて息ができるようになったおかげか、スイカは目を覚ました。
「ここは……はっ、なぜわらわは閉じ込められているのじゃ!」
「いや、お前自分で四天王って言ったじゃないか。冒険者である俺たちが何をしようと自由だろ?」
ノロイは的確に突っ込む。魔王軍は人類の敵らしいし、そもそも我達の目的も魔王退治だ。
「わらわに、わらわにどんな辱めをするつもりじゃ!」
ノロイは「はんっ」と鼻を鳴らした。ノロイは自意識過剰な女性は好かぬようだな。そもそもアクアと同じ魚類扱いなのかもしれぬが。
「なんじゃそれは! わらわの魅力が分からんのか?」
スイカはノロイの挑発を受けて着物を少し脱いで肩を見せる。
「で?」
ノロイはどうでもよさそうに対応する。
「くっ、これならどうじゃ!」
スイカは着物を少しずつ脱いで……
「ストーップ!」
目的がずれてきていると思ったのか、ミレが止める。
「はっ、わらわは何をしていたのじゃ!」
我に返ったスイカは着物を着なおす。
「私たちの目的は、魚が取れなくなった原因を突き止める事よ!」
ライカはそう言うが、別に目的にした覚えはない。しいて言うなら、アクアが泳ぐことが目的だったような気がする。
「魚? 最近すべてわらわの配下に治めたところじゃ。わらわの命令を聞く以上、人間の釣り竿ごときに掴まる者(さかな)はおらぬわ」
「じゃあ、原因を突き止めたし、帰るか。かいさーん」
「え? それでいいの?」
「四天王を倒せとは言われてないだろ? そもそも依頼ですらねぇし」
「……確かにそうね、あとは街の人に任せましょうか」
「えっ、わらわは帰ってよいのか?」
むしろ捕まえておく理由が無くなったので、我はウォーター・ボールを解除する。よく考えたら我達の目的は魔王退治であって四天王はどうでもよいな。
「ぶべっ、い、息が……」
スイカは湖へ這っていくと、なんとか気絶する前に湖に入る。
「覚えておれ!」
スイカは水面から一瞬顔を出すと、それだけ言って城へ泳いでいった。
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