第62話 四人目の四天王、水花
アクアはどんどんと湖の底に向かって泳いでいった。透明度が高いとはいえ、水の屈折もあるので底までは見えない。そして、しばらくしてアクアが顔を水面に出した。
「湖の中に、家があるわ!」
みんな「?」と言う顔をする。とりあえず、我は湖に顔をつけて中を見る。上から見るよりは遠くまで見えるが、家どころか何も見えない。
「ちょっと行ってくるわね!」
そういうと、アクアはその家があったらしい場所に向かって泳いでいく。しばらくすると、水面に血がにじんできた。
「誰よ、こんな変な魚をわらわの家に入れたのは」
そう言って着物を着た美女が我達の見える範囲に出てきた。ただ、足は2本あるが、足ひれがあるので人では無さそうだ。水かきのある手には、アクアの首を持っている。そして、水に顔をつけている我と目が合った。
「そちらはだれじゃ?」
「がぼがぼ」
向こうは普通に会話してくるが、我は水中でしゃべれないようだ。当たり前か。
美女は一旦城のなかに戻ったらしく、代わりに魚の顔をした侍女らしき者がこちらに泳いでくる。
「姫様がお呼びです」
我は一旦水面から顔を上げる。そして、皆に問う。
「なんか招待されたみたいだがどうする?」
「マオだけ行ったらいいんじゃないか?」
ノロイは濡れたくないといい、他の2人も泳ぎたくないというので、結局我だけが行くことになった。我はエア・ボールで呼吸ができるようにして城へ向かう。
アクアは再生したのか、首は繋がったようだが捕まっていた。
「そちらはなんじゃ? なぜわらわの城へこのような者をよこす?」
「アクアの独断で、我達は別にここに用はない」
「ほぉ、わらわを四天王の水花と知らぬのか?」
久々の四天王だ。そうと分かれば、戦うしかないな。我はアクアを掴むと、水面に向かって泳ぐ。足裏でウィンド・ドリルを使い推進力を得る。
「わわわ、なんじゃ、なんじゃ!」
スイカはアクアを捕まえていたひもを握っていたらしく、一緒に湖から飛び出す。
「はうっ、み、水!」
アクアは人魚形態では息ができないのか、口をパクパクさせている。
「ぶふっ、み、水!」
スイカも陸では息ができないのか、口をパクパクさせている。アクアにはネックレスをかけて人間にするが、スイカは放置だ。
「い、息が……」
スイカはしばらくじたばたしていたが、白目になって倒れた。
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