第33話 次の目的地は?
我達が宿屋を後にすると、宿屋の前にエリザが居た。こうして待っている姿はやはり犬そのものだが。
「何をしておるのだ?」
「え? あなた達についていくと面白そうだから。あれ? あなた、弱くなった?」
「分かるのか? 今、こいつは昨日よりは50倍弱い」
「え、ノロイってば犬がしゃべっても驚かないの?」
ミレはそう言うが、モンスターにもしゃべるやつは居るからな、昨日のドラゴンの様に。
「エリザ! こんなところに居たのか! また連れ去られたのかと思ったぞ」
ズンズンと歩いてくるのはモヒカンだ。エリザを探していたようで、走り疲れて歩いていた様だな。
「暇つぶしに、この人達についていくわ」
「冒険者と一緒だなんて危険だ! せめて、護衛を付けて馬車の中に居てくれ!」
「それじゃつまらないじゃない。じゃあ、変身」
エリザはそう言うと、18歳くらいの美少女に変身した。我が言うのもなんだが、これなら女神だと言われても信じそうだ。
「これならいいかしら?」
「あ、犬じゃないならもういいです」
モヒカンはそう言うと、あっさり帰っていった。
「私が言うのもなんだけど、絶対今の姿の方がいいわよね?」
「我もそう思う」
今のエリザの姿は、10人いれば男女問わず振り返るほどの美少女だ。実際、ここを通る人が全員振り向いた挙句、壁にぶつかっているくらいだ。
「目立ちすぎかしら、変身」
ライカに合わせたのか、8歳くらいの犬耳少女になった。なぜ犬耳にしたのか分からぬが、亜人種と言う奴だろうか。
「結婚してくれ!」
モヒカンがいつの間にか戻ってきていた。こいつ、犬耳が好きなだけか? 8歳くらいの少女に結婚を申し込む大人とか、どう見てもやばい気配がする。
「私が帰ってきてからね」
「分かった! 待ってる! 気を付けて!」
モヒカンは嬉しそうに手を振っている。我が言うのもなんだが、付き合う相手は選んだ方がいいぞ?
「それじゃあ、行きましょう」
「その前に、ギルドで飯を食って行こうか」
ノロイがそう言うので、皆でギルドへ向かった。テーブルについてさっそく飯を注文する。
「出身地:ウラル、職業:巫女、名前:エリザ、これでいいの?」
何故かエリザが冒険者登録している。別にしたらダメなわけではないが……。
「冒険するなら、身分証代わりに作った方が良いって、彼氏が言ってたから」
「まあ、俺達も身分証変わりだからな。門で引っかかるよりいいだろう」
「犬に戻ればいいのではないか?」
「確かにそうだな」
「私は犬神であって、犬じゃありません」
「大所帯になってきたな。誰かここに残りたい奴はいるか?」
「居ないわよ!」
ライカがそう言う。ライカが一番置いて行かれそうだからな。存在感薄いし。
「じゃあ、じゃあ、私が知っているダンジョンへ行きましょ!」
「俺達の目的地は魔王城だぞ?」
「いいから! 急がないんでしょ?」
「まあ、いつでも魔王は倒せるしな」
「ならいいじゃない!」
「あ、それ面白そうね」
エリザも賛成したので、ダンジョンへ行くことになった。
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