第59話
それから三回は一本ヒットを打たれたが、なんとか無失点で抑えて、その裏の攻撃は三人で終わり俺は四回のマウンドに上がった。
ふぅーこの回はまた森田に回ってくる可能性がある。あいつはバッティングでも修正力が高いから気を付けないとな。二番からか、このバッターは背が小さくアウトコースを苦手としているんだっけ。恐らくスライダーとストレートが中心とした配球になるだろう。
やはり予想通りスライダーをアウトコースに要求してきた。俺は右腕をを縦に振るイメージで投げた。するとくくっと曲がったスライダーがミットに収まった。これてワンストライク。
次もスライダーか、また同じように投げて、つーストライクと追い込んだ。つきはストレートをインコースに見せ球で使うのか、俺は思いっきり腕を振って投げた。するとボールはインコースの際どいところにいき打者は見逃してきた。予想通り内心ほくそ笑みながら次のサインを見た。次はアウトコースのスライダーでとどめか。俺は先程と同じイメージて投げる。すると打者はストレートがくると思っていたのか、タイミング早く振ってきて泳がされて三振をした。
いつもだったらここでストレートを投げていたから、相手のデータとは違う球がきたから泳がされたのだろう。さすが長沢先輩だ。うちの学校でもトップクラスの学力を誇っているから裏をかく配球はお手のものだ。
三番は初球のスライダーを狙ってきたのか、振ってきてあわや、ツーベースになりそうな所をライトがファインプレーをしてなんとか打ち取った。配球を読まれているのか、さすがにスライダーを初球に投げすぎたか。長沢先輩も気付いているだろうから次は配球を変えるだろう。
にしても風格あるな次のバッター。確か名前は関だっけ。ああそういえば櫻坂の関と名字が一緒だったか。次はなんのボールからはいるのだろうか。ストレートをアウトコースか、運が良ければこれで打ち取れるな。俺は足を山崎投手みたいに右に府マコンで身体が開かないように投げた。
しかし読んでいたのか踏み込んできて、右中間にボールを飛ばされた。まさか、スライダーを投げないことを読んでいたなんて、さすが強豪校の四番だな。
おっと感心してる場合じゃないなカバーに入らないと。俺は二塁のカバーに入った。ボールは来なかったけど。
さて次は森田だ。最悪の場面で回ってきやがった。スライダーをアウトコースに投げるのは恐らく読まれているだろうからインコースに要求されるだろう。
森田が獰猛な笑みでこっちを向いた。自信満々みたいだな。正直ムカつきはしない。だが先制点はやるわけにはいかない。俺は努めて冷静になりながら長沢先輩を見た。
やはりインコースのスライダーか、この場面は甘くはいったら終わりだから、気を付けないと。俺はインコースに腕を縦に振ってスライダーを投げた。森田は振らないで見逃した。やはりインコースは打たないつもりか。
次はまた同じボールでインコースか。俺はさっきと同じように腕を振ろうとしたが、ボールが滑ってしまった。ヤバイ、このままだと変化しないでボールがいってしまう。
案の定ボールは真ん中高めにいき、森田に芯で捉えられて、ぐんぐんボールが伸びてった。頼むスタンドには届かないでくれと俺は願った。ボールはフェンスに辺りなんとかスタンドまではいかなかった。だがこれで点は取られた。はぁー森田から点を取るのは厳しいんだが、まぁここで落ち込んでも仕方がない切り替えて投げるか。
六番は三振にとりなんとか最少失点でなんとか切り抜けた。ベンチ戻ると、高住先輩が話しかけてきた。
「打たれたかもしれないが。すぐに点は取ってくれるだろうから気にするなよ」
「はい、気にしないでのびのびと楽しんで投げていこうと思います」
元々格上のチームなんだ。一失点ぐらいは予測の範囲内だ。問題はここから失点しないことが重要だ。きっと打線もこのままでは終わらないだろう。
「その表情だと大丈夫そうだな。お、初安打がでたみたいだぞ」
先輩が嬉しそうに塁上で手を上げて喜んでいる。まぁ来年のドラフト候補から打てたら嬉しいよな。俺もねるに向かって手を上げるだろうし。
「そうですね、これで反撃ののろしが上がればいいんですが」
しかし、二番三番は内野ごろに倒れた。ツーアウトになったな。次は長沢先輩か、何とかしてくれるだろう。俺も懸命に応援する。同点にしてほしいからな。一点差だと精神的に辛いし。
しかし、長沢先輩はいい当たりを打ったが、相手のレフトにファインプレーをされアウトになった。マジかあんなフェンスギリギリのボールとるのかよ。守備範囲広くねーか。森田は無表情でマウンド降りた。少しは労ってやれよ。俺はマウンドに向かって歩いた。
五回は切り替えたこともあり球のキレが上がって、三者凡退に抑えた。俺は悠々とマウンドを降りる。ベンチに戻るとバットをもってベンチで森田の投げる球にタイミングを合わせていた。
ランナー出たら打ってやる。もう打ちそんじたりはしない。
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