第51話

模試が終了してから一ヶ月近くが経った。


ちなみに俺の数学の結果はねるのスパルタな教え方のお陰で60点を取れた。


マジてねる様様である。ねるに足を向けて寝れないな。


今は開会式をやっていて俺は10が与えられた。  


1番は高住先輩だ。ちなみに俺はあれから先発で何試合か投げた。最終回まで投げた試合もある。それにしても暑すぎだろ。ああベンチに座って休みたい。


「次は俺たちの番だぞ。手がずれないような」


ふぅ~行進は中学時代の夏以来だな。緊張する。


「竜山高校入場です」


俺はその声で前を向き前の人に会わせながら入場をした。俺は横目で会場を見る。夏の大会だけあって八割方席が埋まっていた。


試合をしたら満員になるんだろうな。まぁマリンで試合をするには二回勝たなきゃいけないが。


俺たちはグラウンドに整列をして大会の主催のトップが話し始めるのを待った。


やがて、大会の主催者のトップがこの大会が開幕できることえの喜びと、みんな怪我なく全力でプレーをすることと話した。


話は終わって千葉県知事の話も同じような内容で開会式が終わる。


俺たちは順番に退場をして、マリンの外に出た。


「何度やっても気持ちが昂るな。好希久しぶりの開会式はどうだったよ」


長沢先輩が口角を上げて俺にかけて肩くみながら言った。


「緊張しました。でも勝てばここで試合ができると思うと興奮しましたね」


「そうだろ、これが夏の大会の醍醐味だよな」


「絶対にここで試合をしましょう」


俺はやる気に満ちた目で長沢先輩をみて言った。


「あ、長濱も来てるんだろ。向かいにいった方がいいんじゃないか?ナンパされる可能性があるだろ」


「流石にこんな短時間だとないと思いますが、一応みてきます」


「ここから自由行動だ。くれぐれも問題は起こさないようにな」


そう長沢先輩がいうと各々が自由に散って行った。


さてねるを探しに行くか。俺はねるに電話をした。する数十秒でねるが電話にでる。


「ねる今どこにいるんだ?」


「Dゲートだよこうくん」


「分かったそっちに行くから待っていてくれ」


「うん、後こうくんの行進かっこよかったよ」


家で練習したかいがあったな。俺はこの日のために妹に怪訝な目でみられながらも行進の練習をしたのだ。だが妹からのあどんだけ行進程度で気合いをいれてんのという視線には泣きそうになった。この傷は無駄じゃなかった。ちなみに今日はねる以外来てない。優香は試合以外京間がないタイプだからだ。だから試合は見に来る。


とりあえずDゲート向かうか。俺は人混みを訳ながら進んだ。


すると見慣れたおしゃれをしたねるが誰かに話しかけられていた。ナンパか?しかもあれ信州大学松戸のユニフォームじゃん。強豪だからナンパがうまくいくと思っているんだな。だが相手が悪いねるじゃ相手にされないどころか氷のような瞳で見られるぞ。だけどあれはしつこそうだから助けにはいるか。


俺は急いでねるのもとに向かう。そしてだんだんとナンパしているやつのかおも見えてきた。

いかにもリア充なイケメンだった。


ん?あいつどこかで見たような。


....あ、思い出したわ。あいつ森田じゃん。二年生ながら信州大学松戸のエースの。あいつ異様なほど持てるって噂があるんだよな。


早く話しかけないとねるが回りから嫉妬の目で見られて、最悪拡散されて誹謗中傷される可能性がある。


俺は人を掻き分けてねるのもとにたどり着いてねるに話しかけた。


「ねる遅くなったな。先約があるんでここで失礼させてもらうぞ」


俺はねるの手を握って連れ出そうとすると、


森田が待ちたまえと言ってとねるの左手を掴まえた。


はぁ~やっぱりこうなるか。というか不倫とか言って興奮してる奴、ねるは裏切ったりしないからな。切れるぞ。


やっぱりねるは氷のような眼差しを森田に向けていた。


「君ねるっていうんだね。僕と一緒の方がこんなさえないやつと一緒にいるより楽しいはずだよ。さぁ僕のところに来るんだ」


あんな視線を向けられて尚も誘うのか。メンタル強すぎだろ。流石強豪校のエースだな。するとねるは怒ったように口をぷクーと膨らませた。


「こうくんはかっこいいよ。いろんな女の子をとっかえひっかえしてようなことをしている人よりもね」


「それはみんな僕のかっこよさにやられるからいけないんだよ。君も僕と一緒に来ればわかるはずさ。美味しいフランス料理を食べに行かないかい?」


フランス料理って高校生の行くような店じゃないだろ。イケメンでお金持ちとてドラフト候補とかチート過ぎる。後こいつナルシストすぎだろ。自分でこんなにかっこいいとか言ってるやつ始めてみたぞ。まぁ客観的に見てもイケメンだが。


なんか冴えないとも言われたが俺は意外に整っているだが。まぁ前髪が邪魔してかおがあまり見れないんだが。髪の毛そろそろ切るか。邪魔になってきたし。


「私は食べ物にはつられないよ」


「ふむそうか、なら勝負をしよう。どこかで当たるはずだから勝った方がねるとデートするって言うことでどうだい?」


するとねるか目を細めてへぇ~こうくんに勝てると思っているんだーと小さく呟いた。


おい、まさか受けるんじゃないよな。相手はドラフト候補たぞ。二年生なのに。十回やって一回勝てるかどうかだぞ。


「いいよ、こうくんが負けたら10日間デートしてあげる」


おい当事者抜きで話し始めるなよ。それとも俺に人権がないのか。ねるに人権無視されるとか泣きそう。 


「デート楽しみにしてるよ。サリュねる」


てをフリフリしながらフランス語で別れの挨拶をしてか帰った。というかあの挨拶って親しいやつにする挨拶だろ。ねるはごみを見るような目で森田を見ているんだが。なんかあいつがかわいそうに見えてくる。


「ねるどこか食べに行くか?」


「サイゼがいいな」


あの学生の味方サイゼだとねるはやっぱり気が合うな。あそこだったらデザートつきでも千円いかない。コスパが最高ってことだ。

それにルネサンス時代の絵もイタリアンって感じがしてイイ。つまりサイゼ最高かよと言ったところか。おっとねるの口癖が出たな。


「じゃ早く行こうぜ。お腹減ったしな」


「うん、千葉市のサイゼに行こう。折角だから」


「そうだな、ここまで来たしそうするか」


俺たちは海浜幕張に向けて歩きはじめた。太陽が爛々と輝いていて俺達の未来を祝福してるようだった。


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