第18話

俺は距離が近いので歩いていくかと思い、自転車を置きコンビニに向かう。家から行く場合は下り坂なので楽なのだが、帰りが上り坂になるので歩くというのも理由のひとつである。


数分経ってコンビニに着き俺は優香の好きチョコのソフトクリームを手に取りレジに並んだ。


俺の番が来たので俺は財布をリュックから出して240円ちょうどを出して購入して、入れてもらった袋を持って急いで溶けないうちに帰ろうと思った。


「ただいまー」


俺は鍵で開けて家に向かってそう声を出した。


ん?珍しく優香が来ないな。いつもなら満面の笑みで玄関まで迎えにくるのに聞こえてないのか?靴はあるし。それとも優香に愛想つかれたというのか、なにそれショックすぎて涙が出ちゃうな。俺はとりあえず靴をそろえてリビングを通りすぎるときに問題集ジーと穴が開くくらいに見ているを優香の姿があった。


あーなんだ勉強に集中しすぎて聞こえなかったのか。


アイス使ってちょっと脅かしてみるか。

俺を傷つけた報いだ。大人しく食らいやがれ。

自分で言って心が狭いなと思ったが、俺は一回決意したことは曲げないので実行に移す。


ソフトクリームを取り出し優香の頬にピタリと引っ付ける。


「ひぁ!」


優香は頬に冷たいのが当たって一日一回ぐらい聞きたいぐらいの可愛い声を出してびくんと身体が跳ねた。顔が可愛いと反応まで可愛いんだな勉強になった。


すると優香アイスクリームを持ってる持ち主である俺の方をジト目で見てきた。


「お兄ちゃん帰ってきたならアイス使わないでちゃんと言ってよ驚くじゃん」


「ごめんごめん反応されなかったのにちょっと悲しくなってな」


「だからお兄ちゃんは泣いているんだね」


泣きそうじゃなくてもう泣いてるのかよ、俺の涙もろくねーか。毎回映画に感動してる人並みの涙脆さだな。 

俺のハートは繊細に出来てることがわかった。

俺は目元をゴシゴシと拭いて、これとチョコ味のソフトクリームを優香に渡した。


優香はそれを受け取り私の好きなチョコ味ーと感動している。


「お兄ちゃんありがとう」


優香は向日葵のようなにへらとした笑みを浮かべた。


俺は優香のそんなにへらとした笑顔が好きだ。

気を許してくれてる気がして、もちろん身内だからなのだがそれでも嬉しいものは嬉しい。

優香はソフトクリームをチロチロとなめている。

 猫みたいで可愛いな。俺はその姿をしばらく座ってテーブルに頬づえついて眺めていると、優香が俺のほうむいて顔を近づけてくんくんと俺の服を嗅いで顔を顰めた。


「お兄ちゃんまたねるさんと出掛けたでしょ」

その言葉には確信めいたニュアンスが込められていた。


うわーなんでわかるんだよ、匂いかんでた事はねるの臭いでもついているのか。匂いでわかるって犬かよ。しかもなんだか笑顔なのに目が笑ってないし。

「勉強してただけだぞ」

嘘はついてないよな。勉強だけでも怒りそうだが。


「勉強だけだったらこんな密着したような匂いしないと思うけど」


あーあの時か自転車に乗ってたときだな。さてどう言い訳をするか....

あそうだ!


「隣同士で勉強したから匂いついたんじゃないか?ほら女子って匂い強いだろ」

優香は口角を上げてニッコリとして


「アイス買ってくれたから今日はそいうことにしてあげる」


あ、これ信じてないな。


「だけど今度から勉強する時も教えてね」


顔が笑ってるのに目が教えないとどうなるかわかってるよねというような目をしてる。

あれは目だけで殺せるな。なんで可愛い女子って怒るとこんなに怖いんだよ。


「わかったよ優香」


はぁー明日どうするか。優香は明日勉強会をマックで開くって言ってたし、出掛けてから伝えるか。流石に途中で帰ってこないよな


「あ、そうだお兄ちゃん夜買ってきててお母さんからライン入っていたよ」

いやそれ外にいるときに伝えろよ。

もう帰ってきたし、今更行くの面倒だ。


「なんかおかずないのか?」


「冷蔵庫みたけど何にもなかったよ」


マジかこれは買ってくるしかないみたいだな。

あれだな、ごはん今日食べてきたから夜買って食べてきてねと帰ってから言われたサラリーマンの気分だな。


「はぁー買ってくるわ」


俺は肩を下げながらだるそうに玄関にいき着いたら靴を履き距離が近いので歩いて向かうことにした。






俺はあれからラーメンを買ってまだ食べてなかった優香と一緒にご飯を食べて、風呂に入り俺は今自室にいる。

明日数学をやると思うと気が滅入る。

ねるに教わるなんてあんまりないぞ!

誰だよ俺の脳内に語りかけてくるやつ。まぁいいやとりあえず寝よう。

俺は布団を被り横になって寝た。


俺は9回一点差でツーアウトランナー二塁の場面で打席に立ってる。相手は昨年対戦したドラフト候補のピッチャーだ。スタンドではねるが応援をメガホンを持って一生懸命に応援してる。

まぁ俺のことじゃなくてランナーの方を見てるがな。だが俺が少しでもなるの幸せに貢献できればそれで今はいいと思っている。なので俺はこの打席は絶対に打たなければならない。

ストレートに狙いを絞りバットを構える。

すると綺麗な回転でストレートが来た。俺は内心ガッツポーズをしながらボールを左中間に飛ばした。スタンドのみんなが一斉に立つ俺はねるの方にガッツポーズをする。もちろんねるは見てないが。俺は寂しげな笑顔を1人で浮かべながら空を見た。


結局試合は延長に入りサヨナラ負けしてしまった。俺はグランウンドを後にして1人でスタウンド下で負けたことを悔しがっていた。

今日勝てばねるの幸せな笑顔が見えたのになぁ

すると黒い髪のストレートで目の色が茶色でぱっちりとしていて細めの体つきだがでるとこはでてるスタイルのいい美少女が俺に話しかけた。

「おつかれ、好希いい試合だったね」


「美波か、できればねるがよかったな」


「悪かったわね、ねるじゃなくて」

美波は不服そうな目をしながら言った。

俺はごめんごめんと手を合わせながら謝る。


「ありがとな、ねるも優香も彼氏ができて俺を応援してくれるのお前だけだよ。本当にありがとう力になったよ」


そ言うと美波は頬を赤くタコのように染めて、何かをぶつぶつと呟き出したので俺は心配になりそばによった。


「日差しで熱中症にでもなったか?」


俺がそばに寄ったことに気がついたのか赤く染まった頬をしながら顔を上げた。


「大丈夫よ。ちょっと予想外なことが起こって動揺しただけだから」


「そうかならいいんだが、これ一応飲んでないポカリだがらあげるわ」


俺はリュックからポカリをだして手渡した。


「ありがとう」


それを大事そうに美波は受け取り一口飲んだあとリュックにしまった。


「それより打ち上げあるんじゃないの?」


「俺みたいなぼっちが行って楽しめると思うか?」

すると美波はふふと笑って

「いけないわね、じゃ私と打ち上げしない?」


俺は顎に手を当てて考えた後それもいいなと思いさ承諾した。


「じゃー決まりね、サイゼでいいかしら」


俺は口角を上げながらいいぞと言った。

俺はキャプテンのもとに行って打ち上げにいかないことを伝えた。するとキャプテンがそうかと言って寂しそうにそうかと言った。なんでキャプテンが寂しそうなんだ?


まぁいいや美波の元に向かうか。俺は美波の元に駆け足で戻り2人で隣り合って歩いた。俺たちは側から見たらどう見えるだろか?カップルか?仲のいい友達か?まぁ前者はないか。できれば後者のように見えて欲しいと願いながら俺は歩いた。








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