第17話

ねるは駅に着くと背伸びをした。

いつも何かを終わらせた後にするならの癖だ。

「今日はいつも図書館でやるより勉強捗ったよ」


そりゃ毎回人の視線に晒されて、外に出たら

下劣な劣情をこもった視線を向けられながらは勉強しづらいよな。

ついでに俺になんであんなやつがという嫉妬の視線を向けられておれも勉強しづらい。


「捗ったようで何より明日はよろしくな」


ねるは目を細めてひまわりみたいな笑顔を浮かべた。


「明日はビシバシ教えていくよ」


ねるの教え方は優しくて厳しい何が言いたいかわからないかもしれないが正解すれば優しいんだが、問題を解くまでが厳しい。


教えてもらうっていうよりヒントを与えられて解いてという感じの教え方だからだ。


俺は答えを教えて欲しい、そして解説をして欲しい。まぁねるのヒントは的確なんだが


「優しく教えてくれよ」


「わかった、いつもよりわかりやすいヒントで教えるね」


俺はそろそろ行こうと言って駅内に入りスイカで改札口を通りホームに向かった。


ホームに着くと刺すような視線を感じた。


俺は視線には慣れている。だけどこの視線はいつもとは違うものだった。


嫉妬と殺意が入り混じったような視線だ。


俺は今までにないほどの恐怖を感じていたが、ねるは気づいてなさそうなのでどうやって巻くか1人で考えた。つけてくる可能性があるからだ。どうするか?確か自転車が駐輪場に置きっぱなしにしてたよな。それ使って二人乗りでもして巻くか。そう思うと俺はねるに事情を言わないようにした。


「今日自転車があるんだが久しぶりに二人乗りしないか?」


するとねるはこちらの方を向き制服で二人乗りかーと何故だか嬉しそうな顔をしていた。


「うんいいよ、跨ぐと痛いから横向いて片手で掴むだけでいい?」


「ねるが乗りやすい体勢でいいぞ。」


「うんありがとう」


ねるは優しく微笑みながら言った。


とりあえず視線をまだ感じたが電車が来たので俺たちは電車に乗った。


やっぱ自分が見られていなきゃ気付かないものなのか。


そう思いながら俺は視線の感じる方を見る。俺たちと同じ制服を着ていて髪が目を覆っている地味な少年だった。


その人を見た瞬間に俺の心が何かを訴えかけている。なんだこの心のざわめきはまるでこの先の未来を知っているかのような感触だ。


だが今はそれよりもこの怪しい人物をねるの家に近づかせないために行動するか。


新松戸駅に着き俺たちは電車を降りると早歩きで自転車の止めてある駐輪場に向かった。


ねるはなんで早歩きしてるのか不思議な表情をしていたが無視をして先に進んだ。


駐輪場に着き俺は自分の番号を押してお金を入れて自分の自転車のほうに歩いてった。


着くと俺は自転車をおもっきり引っ張って出して後ろの荷台をポンポンと優しく叩き乗っていていいぞということを促す。

するとねるは嬉しそうな表情をして横乗りで自転車に乗った。


久しぶりだからかもしれないがなんかねるが少し前よりも軽く感じた。運動を定期的にしてるのか。まぁ俺はむっちりしたした太ももが好みだからあまり痩せないでほしいんだが。


ねるが乗ったのを確認して、俺はペダルを出せる限りのスピードで漕いだ。


するとねるの片手が俺の服をつかみ落ちないよう少し密着した。


うわぁいい匂いが漂ってくる。女子ってなんでこんなにいい匂いがするんだ。


服から手を離して腹筋をなぜか撫で始めた。

くすぐったい市なんだか興奮する。


俺は興奮してるのをバレないようにねるに話しかけた。


「ねるそんなに俺の腹筋割れてるか?」


「うんトレーニングしてるんじゃないかというぐらいに割れてるよ」


「まあ前から無駄な肉がつかない体質だからな」


本当はトレーニングとピッチングをしているんだがな。大学に入ったら軟式野球部に入るからだ。


何で公式に入らないかって?毎日練習すると自由な時間がなくなるからだよ。俺は自由に行動したいんだ。


「女の子の敵だね、こうくん」


その言葉には少し刺があった。


やべーこの発言は女子を怒らせるよな。特にダイエットをして痩せようとしてる人には。謝っとくか。俺は自分の日を認めたらちゃんと謝れる人間だからな。むしろ今まで謝りすぎて少しのことて謝りすぎだよとか言われるレベル。


「ごめんな、体重気にしてたよな」


すると俺の耳元で囁くように

「いいよ、わかってくれれば」


耳元で言うなよドキドキしちゃうだろう。いやもうしてるが。しかもシャンプーの匂いまで鼻腔をくすぐるし。


それからねるは俺の肩から頭を離して鼻歌を歌いながら楽しそうに乗っていた。


....どうやら視線はもうないようだな。


はぁーなんとかやばいやつに家は特定されなくて済みそうだ。自転車雨が降った時に置きっぱで正解だったな。


俺は最後の坂道を一生懸命登った。

ねるの家の前に着き俺は降りてねるも降りた。


「久しぶりの2人乗り楽しかったよー」


俺は汗を拭いながらそうだっけと答えた。


「中学以来だよ、制服で二人乗りするの憧れだったんだー」


あーそれはわかるな、青春の匂いがぷんぷんするしな。俺はこんなんだが青春を謳歌したいタイプなんだろ誰か告白してくれないかな。


「あーこうくん今告白とかされたいなーとか思っているでしょ」


エスパーなのかねるは。今抱けてなくなんかいも俺の心を読んでいたりするし。俺限定のエスパーだったらなんか嬉しいな。

俺のことを分かってるみたいで。


「なんでわかるんだよ」


「顔に書いてあるからね、告白されたいって」

いやどんな顔だよ、夢想してるような顔か。


「私がいる間は誰にも告白させないよ」


最後の呟きは聞こえなかった。俺難聴系主人声じゃないんだが。むしろ俺は村人Aだな。

なんだか自分で言って悲しくなってきた。

俺もせめて主人声の近くにいたい。


「あんま家の前にいるとねるの父さんが出てきそうだからそろそろ解散するか」


「そうだね、じゃーまた明日」


そう言ってねるは家のドアを開けて帰った。


はぁー久しぶりに二人乗りして筋肉痛になったわ。


にしても腹筋を撫でられたときはびっくりしたな。息子が立ちそうだった。


あ、友香にアイス買ってくるの忘れた。今から買ってくるか。


そう思い俺は再び自転車に乗りコンビニに向かった。




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