第113話 進化しないのは舐めプ・・・?ええい!先にオハナダンジョンメンバーの強化だ!!
「進化……………進化かぁ……………」
過日行われた〖第二回世界大戦〗で、勇者以外には完全に無双状態だったオハナ。
勇者とはそう簡単にエンカウントなんてしないだろうから、次の〖世界大戦イベント〗くらいまではしなくても大丈夫じゃないかな?なんて余裕をぶっこいてるオハナです。
だって進化して確実に弱くなることはないんだもの。
一時的にレベルダウンはするし一部ステータスも下がったりするけれど、今のオハナのバトルスタイルって言うのかな?それを変えるつもりは全くないから一時的にレベルが下がったところでオハナを脅かす相手が出てくるとも思えないんだよね。
いやいや別に舐めプってわけじゃ――――。
「舐めプですよね」
「舐めプですね」
「舐めプっスね」
「舐めプだなぁ」
「舐めプよねぇ」
「舐めプ?」
………………泣いて良いかな?
さっきの考えをダンジョンメンバーの皆に言ったらこの反応ですよ。
因みに発言の順番はプリムさん、サンガ、カナきち、コテツさん、ワヲさん、ホタルちゃん。
ただ一人ホタルちゃんだけは舐めプの意味が解らずに尋ねてきた感じだった。
是非ともホタルちゃんにはそのままで居てほしいね。
で。
見事なまでに『進化しないのは舐めプ』認定されちゃったオハナだけど…………例え舐めプだったとしてもオハナは悪くないよねぇ?
「自分なんてやっと〖ヴァンパイア〗に進化したっていうのに、何クソ贅沢な事言っちゃってるんスか!?強者の余裕っスか!?」
ごめん。ごめんて。だから血走った目でオハナに詰め寄ってこないで怖いから。
そう、オハナダンジョンの皆も〖第二回世界大戦〗の報酬を受け取って、プリムさん以外は進化できるようになっていた。
カナきちにとっては念願の〖ヴァンパイア〗に進化出来たわけだから喜びも一入なんだろうね。
見た目は元々中性的なカナきちは進化してもそこは変わらず、そのまま大きくなった感じだ。
撃たれ弱いのも変わらずだけど、その分魔力が大幅に上昇、〖吸血〗のスキルでHPの回復手段まで得たのでそう簡単には落ちなくなった。
ホタルちゃんは〖ネザーアイ〗から異端進化の〖レギオンアイズ〗へ。
見た目あまり変わってないんだけど、一番の変化は髪の毛の様だった蛇たちの口が無くなって単眼に変化した。
それに伴って〖毒攻撃〗が失われ、代わりにその蛇たちの単眼からもビームが撃てるようになってた。
ダンジョン内でプレイヤーさんたちに囲まれたときに、全方位ビームを撃った時は圧巻だった、撃ってる間も蛇たちを結構自在に動かせるみたいで、逃げ場なんて存在しないんだもの。
サンガとのんびりその様子を観戦してたんだけど、
「いつか…………ホタル様にこのダンジョンが破壊されるかもしれませんね」
ぼそっと呟かれたのが怖かった。
ホタルちゃんは良い子だからそんなことしないだろうけど、着々とそれだけの実力をつけてきている。
次の〖世界大戦〗でホタルちゃんにその気があれば上位入賞も出来ると思う。
コテツさんは〖スケルトンナイト〗から異端進化の〖鬼骨武者〗へ。
これまで微妙な進化?の道を歩んできたコテツさん、今回は全体的に体が大きくなったのと額から突き出た一本の角、それからコテツさんの肩の上を飛ぶ青白い人魂が二つ…………〖眷属〗が追加されていた。
その眷属は完全に防御特化らしく、魔法攻撃を受けると消滅する代わりにコテツさんへの魔法攻撃の威力を大幅に削るという効果を持っている。
更に魔法攻撃を受けて眷属が消滅したときに、相手のMPを微量だけど削る効果まで持っていた。
オハナ程じゃないにしても、コテツさんもかなり要塞化してきてる気がする。
コテツさんにとっては今までで一番変化があった進化かもしれない。
ワヲさんは〖プラーナ・ゲル〗から正統進化の〖ドッペル・ゲル〗へ。
ゲル状のボディなのは変わらずだけど、うねうねと形を変えて人型になれるようになった。
あとは〖水魔法〗を習得したことで、攻撃、補助、回復まで出来る様になってコテツさんと組めば面倒なことこの上ない組み合わせに仕上がっていた。
試しにコテツさんワヲさんの二人対、オハナ眷属ズで戦ってみたんだけど即死攻撃無しで戦った場合普通にコテツさんとワヲさんの方が強かった。
「ワシらもちったぁ役に立てるようになったか、婆さまよ」
「うふふ。オハナちゃんの眷属ちゃんたちに勝てたんだから胸を張って良いと思いますよ?爺さま」
ラブラブっぷりも進化してない?気のせい?
え?それは僻みだって?違うよ?羨んでるだけだもの。
あとプリムさんは魔物じゃないから、強い装備を獲得するか、高位の職業に転職するかでしか強くなれない。
でもまだ魔物側でも完全に人型まで進化できてるプレイヤーの方が珍しいらしくて、プリムさんが見た限りだと装備の方は未だ人間側で言う『それなり』の物しか店で売られていないのだそう。
これからは〖世界大戦〗の結果から〖魔物優位〗になるはずだから、もしかするとそうした部分でバランスをとっていくのかな?
魔物側で強い武器防具を揃えようと思ったら、鍛冶屋のNPCさんに〖依頼〗をして既存の武器防具を強化するか、素材を渡してオーダーメイドするかの二つしかないらしい。
勿論失敗することもあってその場合集めた素材は全てロストする。
少しでも成功率を上げたいのであれば設備の整った工房に行くか、腕の良い鍛冶屋に頼むしかないんだけど、両方兼ね備えた工房っていうのが未だに無いらしくて掲示板とか見ても荒れてるんだよねぇ。
これから良いお店が出てこない限り、装備品の新調は出来そうにないとの事だった。
「――――――って、私の事は良いんですッ!!」
プリムさんが心底どうでもいいって感じに軽く流すと、
「今大事なのはオハナさんの進化ですよ!!次はどんな感じになるんでしょう…………可愛い系?それともセクシー系?気になります!!」
あぁもう進化する前提なのね?
キラキラと目を輝かせるプリムさんに、オハナも嫌とは言えませんでした。
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