デストリエルと、その権能について

 先述したとおり、アナザーアースのアングラな界隈では、死の天使デストリエルへの信仰が広がっている。ここではそのデストリエル周辺の設定について述べる。


 デストリエルは、かつて人間として生まれた。天賦ギフトを持って生まれて、それを存分に活用して革命を裏から操ったそうだ。その功績をたたえられ、死後、天使の座に就く。

 しかしデストリエルは、天使としての仕事にただ従事することを良しとしなかった。生前から向上心が強く野心家だった彼は、天使の身から神になることを決意。その目的を果たすため、彼は人間界に積極的に干渉している。天使の間の掟では、人間への過干渉は御法度とされているにもかかわらず、だ。

 余談だが、かつての代理戦争(自主企画『ダイスロール・ウォー』)にて、目的を達成した人間に天使の座を与える制度は完全撤廃された。しかし、デストリエルは今までの命数管理の功績により、例外的に天使の座にとどまることを許されている。……風当たりはだいぶ強くなったが、元からなので本人(本天使?)は気にしていない。


 さて、デストリエルは人間だった頃の天賦ギフト――あらゆる人間を強制的に服従させるもの――を、天使になっても権能として継承している。というか天使になったことで余計に強化されている。

 デストリエルはその権能を天賦ギフトを持たない人間に与えることで、世界に『死』を塗り広げて功績を上げる手段としている。権能が与えられる人間は総じて高い能力とカリスマ性を持っており、そのせいで行動を縛られていることも多い。デストリエルは単純な能力の高さだけでなく、言葉と行動の自由を奪われた者の鬱屈も高く評価しているようだ。


 権能は非常に強力で、大抵の人間はあっさり引っかかる。一度操られたら最後、術者が解除しようと思うか、術者が死ぬまで洗脳が解けることはない(別のデストリエル能力者が洗脳を上書きすることは可能)。また、その気になれば人外の存在にも効力を発揮するが、莫大な代償を支払う必要がある。というかこの世界には人外は存在しないため、そういうことは基本的にない。

 当然、強力な権能にはデメリットもある。それは能力者の寿命だ。洗脳する人数や強度に応じて、デストリエルに自らの寿命を差し出さなければならない。故に能力者は早死にすることが多い。


 デストリエルに権能を与えられた者たちは、『神官』『巫女』、あるいは単にデストリエル能力者と呼ばれている。これらの者たちは世界各地に存在し、世界を多方面から支配したり、引っかき回したりしている。目に余るほど殺しすぎると他のデストリエル能力者により倒されるため、自浄作用は案外あったりする。

 MDCが拠点を置く南関東に絞ると、高天原 唯、大神おおかみ タルト、すめらぎ 純姫すみひめの三人が主だったデストリエル能力者だ。それぞれ何かしらの組織を率い(純姫は事実上のボスで、表向きのリーダーは別にいる)、それぞれ協力したり対立したりしている。


 目的を達成し、神になったのち、デストリエルは何を成したいのか。

 それは未だ完全にはわからないが、一部では常識改変にも及ぶ大業を企んでいると囁かれている。

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