烈風真田幸村戦記(大助編)14

      十四


『慌てた感じで、返信がきた。砂漠の常識的な価格で割譲したい。しかし、黒人師団は、絶体に止めて欲しい。全て言う通りにいたします』

 ヨーロッパに、視察を出したのであろう。

その阿鼻叫喚の地獄絵図と混血児の多さに、衝撃を覚えたらしかった。

無条件降伏に、なったようであった。

「鈴木師団の方が、効果は、あったようだなあ。それにしても、孫介は帰ってこない。土着するつもりかなあ?」

「第二の故郷に、なったんじゃないのか?」

「・・・」

孫一が、だんまりに、なった。

「心敗するな。最悪、アフリカの事は、孫介しか判らん。アフリカの総統だな」

「武蔵!」

 ゴンと拳固とで殴った。

「痛いっ! 参った俺の負けだ。勘弁、勘弁・・・」

 とその場を、這って逃げたので、大爆笑になった。

「たばには、殴られて方が良い」

 と、大助が、腹を抱えた。

「しかし、半分は武蔵の言うことが、本当だぞ。盲点だな。アフリカの総統だな。若くして一番出世だ。代わりがいない。一大族長だと言うし。凄いものだ。たとえばだ。シベリアとアフリカのどこが違う。田中長七兵衛の弟子を十人も送って見ろ。直ぐに農業国になるぞ。

また、そうしなければ、いけない。よし、本格的に、アフリカに力を入れよう。農業隊と土木隊の出動だ!」

 瓢箪から駒であった。

「こういう所が、鳳国の良さだよ。土木隊は手一杯か」

「大丈夫です。本隊もいますし、仕事したがっている学生も五個師団ほどいます。それと、捕虜になって、仕事は覚えたものの、何処に回そうかと言うのが、二十個師団はいます。思想教育は、最初にしています」

「よし。アフリカに出動だ。鈴木総統に逆らうなよ。習慣も、宗教も、違う。我々は手伝いだ。指導を兼ねてな」

「はい」

 と飛んでもないことが、決まった。

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