第五章 4
四
宮本武蔵の軍が、瀋陽の手前まできた。
幸村のもとに、探索隊から、報告がはいった。
「家康、但馬と五百の兵は、内蒙古伝いに、西に落ち延びました。ウイグル方面にまで、向かうようです」
ということであった。
幸村は、
「どこまで行く気だ。砂漠だぞ。追う気はないわ、追って見ても詮無いことぞ・・・」
と、淀にいった。
武蔵将軍らに、十分な休息を取らせた。
瀋陽はすでに、東西と北側を囲まれていた。
南西の海の渤海、黄海には、雲霞のような艦船群に囲まれていた。
幸村は、勧降の使者を出すことにした。
青柳、高梨、才蔵が、三万の兵とともに、ヌルハチに会うことになった。
「玉砕するのか、静かに武器を捨てて、降伏するか、この一回しか、話し合いはない。 ただし、今後、一度でも、反抗したり、徒党を組んだら容赦はしない。 この爆弾は、営口の海から艦砲射撃をしたものである。ためしに、撫順に撃って見せてやる」
と黄色い狼煙をあげた。
艦船に、連絡が入っていった。
司令船の主砲六門が、撫順に向いた。
同時に、六発が発射された。
撫順は、木端微塵に吹き飛ばされた。
六発で、江戸城は崩壊したのである。
狙いは、正確であった。
ヌルハチの顔が青ざめた。
体が震えていた。
「降伏の条件は?・・・」
「実に寛大なものだ。一、武装解除。ナイフの類まで、捨てなさい。二、瀋陽の無血開城。三、あなたの一族は、南洋のバウェアン島に流される。陽気の良いところだ。多分気にいるだろう。各部の長、一族は、家族、複数の妻たち、子供たちも、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアに移住させられる。部下たちは、武装解除の上、家に帰される。次に武装蜂起したものは、全員、射殺する。白頭山東での戦いは、聞いていないのか?・・・」
「聞いている・・・」
「軍資金と、馬はすべて取り上げる。馬と、武器と、軍資金があるからいけないのだ。以上だ。誰も殺したくないし、我々には、奴隷という制度ははない・・・即答してくれ」
「・・・」
「我々にはすでに戦いの用意はできている。いつでも滅亡出来る。これは、脅しではない。事実だ。今撫順の陥落を見ただろう。誇りの問題ではない。生存の問題だ。あなたが名ハンなら、降伏の道を選ぶはずだ」
が、答は、
「戦う!」
であった。
「判った。戦場で会おう」
と三万の兵とともに使者は引き上げた。
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