第三章 3

   三


 その陣容は、大きく変貌した。

最小単位を五人として、必ず団体戦で戦うこととした。

これを班と呼んだ。

本来的は自分の拠って立つべき場所の意である。

それを単位の基礎としたのであった。

班長が一人である。十班五十人で小隊として、小隊長が一人。

十個小隊で中隊とした。

隊長が一人。

十個中隊で大隊とした。五千人である。

大隊の隊長が一人、副隊長が二人で、大隊長からを中幹部とした。

これに、三千人を加えて、一個師団とした。

師団長からを幹部とした副師団長を三人置いた。

師団に満たない隊を旅団と呼ぶことにした。旅団長も幹部とした。

 こうした各大隊に、弓隊、槍隊、鉄砲隊、騎馬隊を優劣が無いように、配置した。

 十個大隊五万人を右府軍、秀頼本隊とした、残る十個大隊を遊軍とした。

「早く慣れて貰いたい。必ず五人一班で動くことだ。そして、敵を一人々々確実に斃していく。首は取るな。斬り捨てにせよ。新しい戦い方だ」

 中隊、小隊、班に至るまで、個人名を詳細にかきだしてあった。

各班長から、小隊長、中隊長の名まで書きだしてあった。これに辞令を与えた。

 幸村の狙いは、徹底的に派閥を解消することであった。

 先陣は真田の赤備えであった。

その先頭を行くのは、猛牛に跨った三好兄弟である。

こうした配置図を、絵図面に描かせた。

淀が、呼んでいるためであった。

奥の小部屋で、説明をした。

「幸村殿。勝てるかや?」

「負ける戦はいたしませぬ」  

「安堵したし」

「ご用意が整いました」

 淡島の声が、鈴のようにした。

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