第48話 山奥の秘湯1
「懐かしいですね。姉さま」
「そうね。ほんと、昔と全然変わってない。ここから見える景色も、空気も」
「お二人は、この温泉に来られた事があるのですか? かなり山深いですけれど」
「ええ、昔に。わたし達、この辺りの山で二人でよく遊んでいたのよ。それで、遊び疲れたら、いつもこの温泉に来ていたわね」
「この山と温泉には、ワタシと姉さまの思い出がいっぱい詰まっていますから。二人でカッコいいポーズの練習をしたり、新しい必殺技の特訓をしたり……」
「うん、ミリア。その思い出は忘れようね。ていうかお願いだから忘れて!」
「嫌です姉さま! 姉さまとの大切な思い出を忘れろなんてヒドイじゃないですか!」
「じゃあ、忘れないでもいいから、あなたの胸の中だけに大事にしまっておいて!」
「うふふ。姫様とミリア様、本当に仲良しなんですね」
「当たり前だ……って、こら! そこのちびっ子! わたしと姉さまの思い出の神聖な温泉でバシャバシャ泳ぐな!」
「ちびっ子じゃないよ。 ピロロの方がおっきいよ」
「まだ言うか! この……ピースケ! ワタシだって、あと1、2年もすれば姉さまみたいになるんだからな!」
「わたしがミリアと同じ歳の頃はもうちょっとあったけどね」
「姉さま!?」
「うふふ。でも姫様」
「なあに? ルーシア?」
「この旅も、もう終わってしまうんですね。なんだか名残惜しいです。もっと、みんなで旅を続けていたい。そんな風に思ってしまって……」
「ありがとね。ルーシア。あなたには色々迷惑をかけて申し訳なかったけど、わたしもお姉ちゃんが出来たみたいで、すごく楽しかったわ」
「私がお姉ちゃんだなんて、そんな……。姫様……」
「もう、泣く事ないじゃない、ルーシア。お姉ちゃんみたいって言った事、取り消そうかしら」
「ピースケ! お前とはいつか必ず決着をつけてやるからな! 覚えていろ!」
「二人とも、いつまでケンカしてるの! もう上がるわよ!」
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