第92話 復讐。

護衛部隊と、俺達不良仲間で工場内は軽く修羅場になっていた。

「おっら、くたばれ!!」

使い捨て集団を次々となぎ倒していく俺達。


余りにも使い捨て集団の残党と、俺達には戦力も人数も違い過ぎるんだ。

「それにな!」

右フック!

「お前達とは!」

左ボディー!

「団結力が違うんだよ!」

右ハイキックでノックダウン。


「さぁ、残るは高台に偉そうに座るお前だけだぞ。」

俺は工場内の高台にあぐらをかいて座る男を指差す。


こいつ等自体が未だにこのような場所にのさばっているとはな……。

「おいおい、それで勝ったつもりとはなぁ……。笑っちまうぜ……。」

男は立ち上がるとこちらに顔を向けてくる。

……おい、コイツ………何で?


「お前……。真也じゃねぇか!? 何やってんだよ、そんなとこで!!」

俺達が目にしたのは、ダボダボなスウェットを着て、こちらを見下す真也の姿だった。



「真也様、なぜこの様な真似を!? すずお嬢様を攫(さら)ったのも貴方なんですか!?」

伊崎さんは怒りを顕にする。

「ハハッ、お前達には分かんねぇだろうなぁ……。俺の気持ちなんざ……。」

そう言うと真也は天を仰ぐ。

孤独に満ちた様な表情に満ちていた。

「俺は兄貴にすべてを持って行かれた。全てにおいて、兄に劣っていた俺は家族から嘲笑(ちょうしょう)されて生きてきた! 誰も俺に付いて来る者等いなかった! 俺は一人だった……。 そして俺は誓った。俺を家族から切り離し、はぐれ物、出来損ないの操り人形にしたあの………家族に復讐すると!!」

真也はすぐ脇にぶら下がっていたロープに手を掛ける。

「真也……待て!」

俺は全力で真也の元に走り出す。


「これが俺の復讐だ!!」

グンッとロープを引いた瞬間、廃工場の建材が一気に崩れ落ちてくる。


あっと言う間の出来事だった……。

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