第29話 どういう事なの?
「結城君、一体これはどういう事だぃ?」
綾瀬が俺をジロリと睨む。
「海斗、これは一体どういう事なのかな?」
浜辺が俺をギロッと睨みつける。
「海斗君、どういう状況?これは。」
委員長がジトーっと睨みつける。
「お兄ちゃん、どういう事よ、コレ!」
美柑までもかギロリッと睨んでくる。
俺には今、右手にすずちゃんが、左手には奏ちゃんがしがみついている。
何でこんな事になったのかは……全く解らないが、動き辛いと言う事だけは確かだ。
なんて、スカしてはいるつもりだが、実はですね、両腕が柔らかーい物に挟み込まれているのですよ、はい。
すずちゃんは何やらさっきから、腕にしがみつきながらもアワアワしてるし、奏ちゃんは奏ちゃんで、何故か自信満々な顔をしてるし……。
「いや、理由は知らんのよ。気が付いたらこうなってたわけで……。」
そう、俺達は遅いながらも、庭でバーベキューをやりながら楽しく皆で話したりして、夜空を眺めてキレイだね。なんて言ったりして。
「それじゃん。」
妹の美柑から心の声に指摘が入る。
「私達、夜空を眺めてキレイだね。なんて、欠片も聞いてない。」
綾瀬、浜辺、委員長、美柑が口を揃えて俺に問い詰める。
「誰にそれ、言ったの?」
「えと……左右二人にです……はい。」
「不良が聞いて呆れるわー!軽々しくナンパなんかしてんじゃねぇー!」
美柑のビンタが炸裂し、俺は昏倒した。
「…………ですか!?大丈夫ですか!?」
何処かで聞き覚えのある声……。
しかもサラウンドシステム採用か。
……………ん?
後頭部に何やら柔らかいものが……。
「き、気が付きましたか!?よ、よかったですー!!」
泣きながら頬を優しく撫でてくれる彼女は、すずちゃんだった。
すぐ横には奏ちゃんもいる。
どうやら俺はすずちゃんに膝枕をしてもらっているようだ。
と言う事は………この柔らかいものは……すずちゃんの太もも!?
周りを見渡すと、ぼんやりとだが、少し離れた場所にバツが悪そうに妹達が立っていた。
「海斗先輩、私達が肩を貸します。ゆっくりと休んでください。」
「でも、すずちゃんは足が……!」
「わ、私なら大丈夫です!ほら!」
ピョンピョン跳ねて見せるが、やはりぎこちない。
しかし、こうなったら恐らくは話を聞かないだろう。
「分かった、頼むよ。」
俺は情けなく二人に支えられ、休む為、ベッドルームに寝かされる。
ベッドはとても広くニ、三人なら軽く寝られそうだ。
部屋全体が薄ピンク色に塗られ、ヌイグルミや人形、装飾品等、可愛らしい物でいっぱいだ。
シャンデリアも小振りで、女の子の寝室の様だ。
ーー女の子の……………寝室……?
「ま、まさかここって…………。」
恐る恐る俺は二人に尋ねると
「私達二人の寝室です……。」
顔を少し赤らめる二人がとても可愛らしかったが、それよりもこれから起こりうる厄災の方が気になって仕方ない俺だった。
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