第23話 真也の狙い。
「ここが……キャンプ場……?」
俺達は車から降りると、目の前に広がる光景に驚愕していた。
「何なんだよ、このヨーロッパのお城みたいな作りをした建物は!?」
そう俺達の前に立っていたのは巨大なお城のような建造物だった。
「え、これ俺んちの別荘なんだけど……。」
真也のケロッとした言葉に、一同は愕然とする。
いやいや別荘とかそういうレベルではない……。
東京ドーム何個分とかテレビでよくやる豪邸紹介番組みたいな、そういうレベルの問題じゃないか!
広大な庭?に噴水、庭園?
おやおやー、あっちにも別にお城があるぞー?
「どんだけ広いんじゃ、クソボケカスがぁ!!」
俺は気が付くと真也の襟首を掴み、持ち上げていた。
「久しぶ……りの、不良モード見れ……た、ぜ。」
ーーーー。
「スマン、やり過ぎた。」
「気にするな。お前にも初めて見せる場所だしな。」
「あぁ、それはお前が金持ちなの知ってたけど、まさかここまでだとは思わなかったよ。 で、別荘の裏側にもう一個、城みたいなのがあるんだがあれは何だ?」
俺が指差す先には、先程俺が怒りに打ち震えた西洋の城みたいな建造物が建っている。
「あぁ、あれは愛犬の『シンディー』の小屋だよ。」
へぇ、愛犬の小屋。
「で、間取りは?」
「20LLDDK。」
「聞いたこともない間取りの数字出すんじゃねぇ!やっぱりくたばれゴミがぁ!」
ーーーー。
「とまぁ、おふざけはこのくらいにしておいて。今日俺たちはキャンプ場に向かってたんじゃないのか?何でお前の別荘なんだ?」
そう、俺達は皆今日、キャンプ場を目的地として向かっていたはずなんだ。
「キャンプ場も考えたんだけどな。別荘を使った方が色んな事が出来るんじゃないかと思って。」
真也の言葉にハッとし、辺りを見渡し、GoogieMapを開く。
この辺り、川が流れているし、山も近い。見渡しの良さそうな平原もある。そして、海もある!
なる程、そういう事か!
「確かにキャンプ場よりもこっちの方が楽しめそうだな! で、道具は?」
俺の言葉に、真也がにニヤリと笑う。
「勿論、用意してあるぜ!」
おそらくなんだかんだ言いながらも、初めからここを目的地としていたんだろう。
「この事……この環境、みんなには言ってあるのか?」
「いや、言ってる訳無いだろう!」
俺達はお互いニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
これは最高の夏休みが満喫できそうじゃねぇか!
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