第7話 確執。その1
翌日の授業後、それはいきなり起きた。
「海斗!今日こそは『文芸部』に来るよね!?」
声のする方を振り返ってみても、姿は見えない。
確かに女の子の声がしたのに……。
俺は帰りの準備をするため、自分の机のカバンに手をやった。
「海斗!なんで無視するの!?」
俺の視界にズイッと入り込んでくる女の子がいた。
コイツは俺の幼馴染。
名前は『浜辺千歳(はまべちとせ)』だ。
高校ニ年B組。
俺や鳳星院、綾瀬は三年A組。
つまりは後輩だ。
背は150センチと小柄。
まだ幼さの残る顔立ちをしているが、とても可愛くて、裏表の無い一貫した性格の為、男女共に人気がある。
部活動は『文芸部』で、何を隠そう、俺も実は文芸部だ。
俺は小説や詩、俳句なんかが好きで入部したんだが、顔と趣味が一致していないらしく、初めはサボりの為に入部したのかと疑われていた程だ。
まぁ、サボりなんだが。
千歳は小説や詩なんかはからっきしで、そのくせ文芸部を選んだんだから、手芸部か何かと間違えたんだろう。
「今日は行くよ。『今日は』な。」
俺は手をヒラヒラと振ってカバンに教科書を詰め込む。
「今日はじゃなくて、いつもちゃんと来てよ!じゃないと意味ないじゃん!」
意味ないって……お前が勝手に入ったんだろーが。
と言いたかったのだが、余計面倒くさい事になりそうだから、何も言わずにしておく事にした。
「結城君!実はお願いがある……の……って、誰?」
綾瀬が帰り支度を終えて、俺の元にやって来る。
「…………初めまして、『海斗の幼馴染』の浜辺千歳。二年生です。」
何か千歳の自己紹介がトゲトゲしいのは気のせいか?
「あら、初めまして。私は『結城君と同じクラス』の綾瀬美波。生徒会副会長です。よろしくね。」
綾瀬も声こそ穏やかだが、何故か内側から湧いてくるオーラの様なものが彼女の言葉から滲み出ている。
ーーなんだ、この重い空気は……。
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