第2話[依存]
その日を境に桃香は真奈に毎日メールを送った。
返信が来る度、モモに報告する。
そんな桃香を見て、モモは溜め息を吐いた。
「ねぇ、本当に魔獣退治、止めちゃうの?」
「うん。」
「もう誰も殺さないよ。」
明るく話す桃香を見て、モモは再び溜め息を吐いた。
魔法少女を選び、魔獣を退治させる。
それが、モモの仕事だ。
だけど…。
(あの子が、あんなに楽しそうに…。)
初めて会った時から、彼女は今にでも自分を壊しそうな状態だった。
誰からも愛されない彼女。
だからこそ、私は彼女に惚れ、彼女の力になりたいと思った。
それが、八人目の魔法少女、真奈と出会い、彼女は変わった。
彼女の幸せは私の幸せ。
(まっ、私以外にも妖精は送り込まれているし、魔獣退治は他の魔法少女に任せましょうか。)
そう思いながら、モモは優しい目で桃香を見つめていた。
そして、その日の夜。
モモは桃香に叩き起こされた。
「モモ、真奈ちゃんから返事がない。」
夜も更けている。
流石に寝ているだろうと思い、話すが、彼女は首を横に振った。
「違うよ。」
「もう、三百通もメール送ってるんだよ。」
「電話だって、五十回以上かけてるのに…。」
彼女は爪を噛み、一人呟く。
「真奈も奴らと同じなんだ。」
「あいつ〜、私を騙したんだ。」
「私をモテ遊んだんだ。」
「許さない。」
「絶対に許さない。」
カッターを手に持ち、チキチキと何度も音を鳴らす。
静かな部屋に響くカッターの音、そして真奈に対する怨みの言葉。
モモが彼女を宥めるが、桃香の怒りは治らない。
テーブルに手を置き、そして叫ぶ。
「ヒヒヒ、今度会ったらこうしてやる。」
そう言うと桃香はカッターを振りかざした。
途端に桃香のスマホが鳴り、桃香はカッターを放り投げ、電話に出る。
先程とは違い、可愛らしい声で対応する桃香に、モモは安堵し、溜め息を吐いた。
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