第2話[依存]

血塗れの部屋で桃香は踊る。

服は赤く染まり、彼女がクルリと回るだけで、彼女の体に付着した血液が壁や床に飛び散った。

そんな現場にやって来た八人目の魔法少女。

彼女は常軌を逸した光景を目の当たりにし、「酷い」と呟いた。

その言葉に反応し、桃香は首だけを動かして真奈の方を見る。


「酷い?」

「フフフ、可笑しな事を言うんだね。」

「私は良い事をしてるんだよー。」

「全然酷くないよ。」


「一家惨殺が良い事?」

「違うよ。」

「悪い事だよ。」


真っ直ぐ桃香の目を見て、ハッキリと答える真奈。

そんな真奈を見て、桃香は動揺し、頭を掻き毟り、叫んだ。


「この子は私をトイレって言って意地悪するんだよ。」

「そんな子、死んで当然だよ。」

「そんな子を産んだ親も同罪、同罪なんだよ。」


激しく暴れ回る彼女を相方の妖精、モモが宥める。

それでも彼女は止まらない。

真奈に否定され、彼女の心は乱れていた。

異様な彼女を目の当たりにし、真奈は勘違いする。

情緒が乱れるまでに酷いイジメを受けていた。

親まで殺すんだ。

本当に酷いイジメだったんだろう。

そう思い、真奈は桃香を強く抱きしめた。

そして優しく語りかけ、桃香は顔を真っ赤にさせる。


「真奈ちゃん⁉︎」


「辛かったんだね。」


真奈のその言葉に、桃香も勘違いする。

誰からも愛されず辛かった。

そう捉えた桃香は涙を流し頷いた。


「ずっと寂しかった。」


彼女の言葉に真奈はスマホを取り出した。


「連絡先交換しよ。」

「寂しい時は連絡して。」


その言葉に嬉しくて彼女は笑顔で頷いた。


「それと…、もう人殺しは止めて欲しいんだけど…。」


「うん、もう殺さないよ。」


笑顔で答える桃香を真奈は強く抱きしめた。

「ありがとう」とお礼を言う真奈に対し、桃香は心の中で見つけたと呟いた。

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