第2話[依存]

帰宅しても一人。

テーブルには一万と置き手紙。

彼女はソレらを握りしめる。


「こんなんじゃ、愛を感じられないよ。」

「ママ。」


彼氏と別れた事が学校中に広まる。

それでも、彼女の美しさに惚れてしまい、俺ならばと男子達が彼女に告白をする。

だが、誰も彼女の愛を受け入れられなかった。

ある者は真夜中の連絡に耐えきれず。

ある者は彼女の送る傷口の画像に恐怖し、そしてまたある者は彼女の三股に激怒した。

次第に彼女は孤立し、周りからトイレと呼ばれる様になった。

ネットにその事を呟いても、周りからの共感は得られない。

何処にも居場所が無い。

彼女はスマホを投げ、そして叫んだ。


「どうして誰も私を愛してくれないの。」

「私はこんなに愛を与えているのに、どうして?」

「寂しいよ…、ママぁ…。」


母からの愛を感じられない。

それでも、彼女はクシャクシャになった、置き手紙にすがった。

愛していると書かれた紙に顔を押し当てる。

涙で文字が滲み、愛しているという言葉は破れてしまう。

もう駄目なのかもしれない。

私はもう、誰からも必要とされて無いんだ。

虚な目で呟く彼女の前に、妖精が現れた。


「可哀想に、世の中の魔獣共に追い詰められて…。」


妖精は桃香の頭を小さな体で抱きしめる。


「愛が欲しいのなら私が与えてあげる。」

「だからね、殺しましょう。」

「あなたに辛い思いをさせる、魔獣達を…。」

「あなたのその美しい手で…。」


この日を境に彼女は魔法少女として活躍した。

いっぱい殺せば褒めてくれる。

いっぱい殺せば愛してくれる。

そう、いっぱい殺せば愛してくれるんだ。

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