11月 まぬるコレクション・苦手なものカタログ2021


①牛レバー

 火を通した牛レバーがどうしてもだめです。あのむにゅっとした食感とか、あとに残る風味や匂いとか。

 焼き肉の中にしれっとした顔でまぎれてたりしたら最悪ですよ。ニラレバ(レバニラ?)炒めなんかは見た目と匂いのせいで、つい「おいしそう……かも?」とか思って箸をのばしてしまい、後悔したことがなんどもあります。

 パクチーや椎茸やお酢は好きになったのに、これだけは大人になってもどうもしてもだめ。その一方で、生の鶏のレバーをごま油と塩でいただくのは大好きだったりして、自分でも合理的な説明はできません。

 でも苦手なものは苦手。


②犬との触れ合い

 犬が嫌いなんじゃないんです。犬はかわいい。

 でも人なつっこい犬がぱーっと駆けてきて飛びついてきたりすると、ごめんなさい、どうすればいいか分からない。

 猫との付き合いはそれなりに長いので、猫なら多少意味不明な行動をされても戸惑うことはないのですが、犬にはほんとにどう接すればいいのか。

 むこうは人間が大好きで「遊んで」「遊んで」という態度を示してくれてるのに、応えてあげられなくてなんとも申し訳ない気持ちでいっぱいなのですが。


③傘

 傘が苦手、というのは変ですね。傘を持ち歩くのが苦手。

 まずもう邪魔なので、できるだけ持ち歩きたくないですね。あの長いものを、どんな角度で、どう持てばいいとおっしゃるのでしょうか。水平に持ったら後ろの人が危ないし、柄のところを腕に引っ掛けたりすると痛いですしね。まして濡れてたりしたらもう投げ捨てたくなります。

 そのせいだと思うのですが、いったん雨が止んでしまうとたいていどこかに置き忘れてしまいます。コンビニの傘立て、電車の座席、カフェのカウンター、公園、あらゆる場所に、傘を置き去りにしてしまいます。というより、置き忘れないことのほうが少ないくらいです。

 こんなに世の中が進歩して便利になったのに、どうして傘はいつまでもあんななんでしょうか。

 もっとなんか、AIとか超伝導とかips細胞とかモーションキャプチャとか、すごい技術で雨をどうにかできないものでしょうか。


④美男美女

 容姿端麗な読者の皆様には大変申し訳無いのですが、猫村は美男美女を苦手としています。怖いんです。そのうえに、知的で、社交的で、礼儀正しくて爽やかだったりすると、もう逃げ出したくなってしまうくらいです。

 かんがえてみれば、美男美女というだけでそんな風に思われてしまうというのは全く不公正なことだし、言ってしまえばそれもひとつの人権問題かもしれません。それで得もしているのだからいいだろう、というものでもないですよね。たぶんいろいろ嫌な目にもあっているだろうし……。

 でも、嗚呼、ごめんなさい。

 どうしても、わたしはあなたがたが苦手なんです。

 お願いですから、こっち見ないでください。

 近寄って来ないでください。

 にっこり微笑んで話しかけたりしないでください……


⑤ヘアカット

 ああ、これは、ほんとうに嫌なんです。変な電動機械椅子にじっと座らされて、触れるでも触れないでもないような感じで髪や耳や首筋のまわりを触られたり、耳や目の近くを刃物が行き来したり、切った髪の毛が襟まわりでちくちくしたり、もうたまらなく嫌です。うわあああ。

 それでいつも、ついつい行くのが遅めになってしまいます。

 申し訳ないけど、カットのときの会話も苦手ですね。逃げられないし。

「今日はこれからどこかお出かけですか?」

 なんて訊かれて、

「いえ……まあ、別に…」なんて答えながら、なんか人生を無駄にしてるような後ろめたさを感じてしまいます。

「はい、これからデートなんです!」とか、

「友だちのバンドのライブに」とか、

「クラシックのコンサートに」とか、

 リアルライフが充実してそうなことを言えればいいんですが……


⑥マスク

 マスクをつけてる感触や息苦しさが大嫌いで、この騒ぎが始まるまでほとんどしたことなかったんです。この先いつまでこれが続くのか、ひょっとしたら騒ぎが落ち着いてもマスク着用の習慣はいつまでも続いてしまうのではないかと思うと、死にたいほど憂鬱です。ああ。

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