甘酸っぱい五分間ですね。初恋のドキドキがもう遠くなってしまった私にとっては、読むのも一苦労なくらいなほどの初々しさでした。かなりリアリティがあるのではないでしょうか。
惜しいというか、お節介なのですが、人間の五分間ってかなり自由度が高いんですよね。十年前の記憶をたどることができれば、たとえ五分しか経過していない物語でも、十年を描くことができる。これは、胡蝶の夢、を引用しておけば十分だと思うので、皆まで言いはしません。
電車で揺られる五分間の間に、彼との数少ないエピソードがあれば、もっと具体的になったのではないでしょうか。もっとも、それすらない初恋で、それがよいのだというお好みもあるでしょう。
お知らせ
和泉賞にご応募頂きありがとうございました。佳作に選ばせて頂きました。