天使みたいな弟子と隻眼イケメン師匠。愛に満ち溢れた癒し系ファンタジー
- ★★★ Excellent!!!
- 読書できないとうふ
残念な継母とこれまた残念な義姉兄に、ラピス坊っちゃんは家から追い出されようとしておりました。
不遇なラピスはしかし、残念な継母たちさえも思いやる優しい大天使様だったので、
ばったり出会った隻眼超絶美青年な大魔法使いは、この純粋培養雑菌ゼロのどピュアなラピスを、甘やかすことにしました。
つらい境遇でも明るく優しく誠実で、ふわふわ巻いた金髪に、空を溶かし星をちりばめたようなキラキラな瞳、さらに竜と歌で対話しちゃう高性能。天然で人の悪意を善意に読み替え、ナチュラルに「ほえ?」なんて言ってしまう。
それが、主人公ラピス坊っちゃんです。
――なぜだ。なぜここまでてんこ盛りしたのに『あざとさゼロ』を達成できるのだ!!
とてつもなく破壊力のある天使が、えげつないイケメンに甘やかされてすくすく育っていく様に、ニヤつかずにはいられません。
茂みの陰で、「いいぞ、もっと甘やかせ」とニタニタしている少々気持ちの悪い読者が私です。
物語の本筋はとても鋭く、清濁混ざる深さがあります。世界を作った竜にまつわるあれやこれやで、なんだか絶望的なピンチに巻き込まれていくラピスですが、あれ?これピンチなんだよね?というぐらい和ませてくれます。彼の前ではシリアスさんも裸足で逃げ出します。読んでいるこちらはラピスの目を通すことで、希望だとか世界の美しさだとか、人の中に眠る善だとか、そういうものを当たり前みたいに見つけてしまえるのです。
完結まで走りました。結果、浄化されました。闇を祓われた本日の私はほんのり白光りしているように思います(個人の感想です)
とにかく癒されたい、師弟愛にニタニタしたい、竜と歌いたい、自然が好き、そんなかたにオススメです。