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その様子を楽しそうに左の口角を上げて見つめる麗鈴。
「ただ、仕事のやり方は自由です。そうですね、AなんかはLiVeを20体以上所有し、自分の区画をさらに分けてそれぞれをLiVeにチェックさせたりしてますし、Fなどはまずはじめにドールを使って各分野ごと大まかに区分し、要請があった本の分野を見極めてその区分から探すようにしています」
「ドールってあの受付に居たやつですよね? 使ってっていうことは手伝ってもらっていいということですか?」
「手伝うのは出来ますが、ドールに探してもらうのは無理ですよ。彼らは簡単な作業しかできないようにプログラミングされています。A地点からB地点まで運べという単純なことは出来ても、○○を探せなんて事はできません。それにもし使うなら先に知珠咲長への申請が必要です。申請し、許可がおりたら使えます。申請の方法は端末に入っていますのでご自身で確認ください」
「あ、それは確認しました。全ての申請が端末からできるようになっていたので便利だなって思ったんですよね」
「あれを全部こなしているとは流石純度100です。ちなみに出来るようになっているのではなく、できるようになったんです。はじめは地上の自室から知珠咲長の執務室に訪ねていく方式だったんですが、それは面倒ということになりましたので。まぁ最近はLiVeからできないかと話し合いが行われてますけどね」
「そうなんですか? 事務室からできるならLiVeでやり取りする必要ないような気がしますけど」
「……ま、それは追々わかってくるでしょう」
遠くを見てうつろに微笑んだ麗鈴に、首を傾げながらも続けて仄が聞く。
「許可がおりない場合もあるんですか?」
「当然です。ただそれに基準はありません、知珠咲長の一存ですので」
「なんだかムラがありそうな気配がします」
「おや、よくわかってらっしゃる。ただ、共通するのは面白そうですので、面白そうな申請を送ると高確率で許可がおりますよ」
なんて面倒な基準なんだとため息を付いた仄は話をもとに戻すことにした。
「ちなみにTさんは要請があったときのためにどういうふうにしているんですか?」
「私は何が何処にあるのかすべて把握していますので、探すという作業はしません」
「あぁ。そうですか。なんて参考にならない……」
「そんなに暗い顔しなくても、私よりも貴女のほうが頭の構造は上です。私のようなやり方は他の者は出来ませんが、貴女にとっては朝飯前ですよ」
微笑む麗鈴を、何を言ってるんだこいつはという顔つきで見返した仄だったが、そんな視線をさらっと流して麗鈴の説明は続いた。
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