『枢軸の世紀』くろにくる(世界編)

 物語の補完としてお読みいただければありがたいです。

 ……あのねぇ、読んだ人がわかるように上手に書いてたら、本来、こんなの必要ないんだぜぇ、君、この未熟者。

 ――すんません……順次、補足していく予定です。


●物語世界

 本作は、架空の世界を舞台とした物語である。ノイマンド、ベルセーヌふたつの架空の大陸の多くを支配する――大国イーステジアと、周縁国家を舞台とする。

 文化、思想、政治形態、生活規範、宗教観など多くの面で生じた爆発的な転換が生じた「枢軸の世紀」と呼ばれる百年間が物語の主役である。

 魔法をはじめとする超常は唯一の例外をのぞいて、一切存在しない(占い、神話、信仰による秘蹟など証明できないもの、主観によるものは存在するが……)。

●人種

 文明を有するのは人類のみ。

 彼らは神話などにより架空の神格などを産み出しているが、それらが物語中、現実世界に現れることは、おそらくないと思われる。物語中、多くの神格が語られていることに気がついた方もいるかもしれない。

 神聖時代には大地を支配していた神獣や精霊が存在していたとの伝承もあるが、もはや神話の中でしか存在しない。

●文明の階梯

 物語は古代から中世の過渡期ぐらいのつもりで、とらえていただければありがたい。我々の世界で云うところの西洋の古代(古代ギリシア・ローマなど)が中心となる。感覚的には中世ヨーロッパ、専制君主国家下での中国、古代日本の貴族制度、近世日本の江戸時代の文明レベルなどが混在しているように思われるかもしれない。

 文字は存在し、各国はそれぞれ君主をいただきその権力下での統治であるが、併行して法も存在する。ただし残念なことに、この法は主に民を束縛し統治するためのものであり、公平性はいささか怪しい。

 機械文明は萌芽していない。金属器、車輪などは存在するが、火薬はいまだ未発明であり、化石燃料の利用もみとめられない。

 イーステジア国内では街道が整備されており、諸国もこれに倣う。また航海術(天文学、気象学)も発達しており、航海路も整備されている。

 驚くべきことに、手形や信用取引などの原始的な銀行制度が存在する。

 総じて統治、人間の活動のための実際的な分野の学問、技術は充分に発展している。その反面、神格がそのまま日常生活に入りこんでいるように宗教観は古代的であり、精神的な分野(文芸、芸術など)はやや立ち遅れている印象がある。

 またイーステジア以前にも竜の帝国、太陽王国、九柱の黒檀の王国などの強大な文明国家が存在したとも伝えられる。これらは現代とは比較のしようがないほど、高度な文明を誇り、不老不死、星々の間を航海する船や太陽の力をわがものにする技術などを有していたと伝承される。原因は不明だがいずれも滅びた。ただし、大陸のはるか南方でほそぼそ命脈を保っているなどの噂もあるが、無論不明である。

●自然環境

 大雑把に分けると亜寒帯中心のノイマンド大陸、乾燥性のある温帯中心のベルセーヌ大陸であるが、ノイマンドの北方は人の住みがたい寒帯、東方は温帯湿潤である。またベルセーヌ大陸の南方は「煙草好きの密林」と呼ばれる大森林を境として熱帯が広がるとのことであるが、定かではない。

●暦

 一年は約三百六十六日。我々の世界とほぼ同じであることは、驚きに堪えない。イーステジアでは黒曜暦と呼ばれる暦を使い、十の月に分割する。ひと月を旬日(十日)でひと単位とし、上旬、中旬、下旬、余旬とする。月三十日を越えるものは余旬(三日~九日程度)で調整するようである。

 一年の最終日(十の月の晦日)は一年でもっとも昼が短い一陽来復(冬至)であり、新年の初日からふたたび昼が長くなりはじめる。またちょうど半分の六の月の初日が夏至となるように、天文方が調整する。年によっては、さらにうるう日、うるう旬が設定されることもある。

 イオなどの他国は先進のイーステジアの暦を導入しているので、国家間に大きな混乱はない。

 一方、一日は六分割されており、いずれも真夜中、正午を基準として住み暮らしているため、当然季節によって齟齬が生じる。しかし時間単位としてはそこまで厳密ではなく、特に庶民は日の出と日没の間が大体分割されていたら、それでかまわないといった程度であろう。ゆえに時間トリックを活用したミステリなどは存在しな……(強制終了)。

 ただし、実際の天文と暦の間に齟齬が生じることもあり、じょじょに改変を求める声も大きいようだ。


(つづく)

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