その小さな手で


「なんかあったのか」

 そう聞くと、狭いソファを分けあっていたかえでが驚いたように俺を見た。

「なんで、兄ちゃん、わかるの」

「兄ちゃんだからな」

「すげぇ」

 手にしていた本とマグを机に置いて、幼い弟の髪を撫でてやる。わかるさ。さっきからずっと、俺の服の裾をそっと握ってくるんだから。



【お題:無意識】

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