第536話 リューとエリザベータの旅2
ソフィの話を聞いたエリザベータは、すぐに王都に行こうと言い出した。エリザベータはこの国の王都を見てみたかったらしい。
そこで、リューの鍛錬は随時続けるという事で、二人は王都に向かう事にしたのであった。
ただ、移動に転移は使えない。まだ制御が怪しいので、不死王にはなるべく使うなと言われていたからである。
転移だけではない、魔法も生活魔法程度で、なるべく使わない事にしていた。魔力生成も普段は魔道具でロックを掛けていて、ごく少量の魔力しか使えない状態である。その状態のほうが、
魔法が使えなくとも、竜気闘法があれば、魔法はなくとも戦闘時に困る事もほぼない。そもそも、リューはもともと攻撃に関しては物理が主体なので問題ない。
だが、歩き旅でもない。竜闘気を使った飛翔術、ドラゴンウィングを使う。これも訓練である。
エリザベータなら王都まで一気に飛んでも問題ないが、まだ慣れないリューは、飛行技術がおぼつかなく、疲れてしまうのであった。空を飛ぶというのは、かなりの神経を使うのだ。
リューならレベル上昇を使って大量の竜闘気を注ぎ込んでしまえば高速で飛ぶ事はできたが、それだと制御が効かないロケットエンジンのようなもので、一気にまっすぐ吹っ飛んで行くだけという感じになってしまう。自在に舞い飛べるようになるためには練習が必要である。まぁこれも繰り返し使い続ける事で上達していくしかない。
二人は途中で休憩を入れながら、時間を掛けて王都へと向かったのであった。(もちろん、徒歩や馬車よりは圧倒的に早いが、それでも何泊かする必要があった。まぁ焦る旅でもない。)
基本は森の中でキャンプであったが、時折は街に入り、泊まったりもした。キャンプを続けるにも、補給が必要だからである。
エリザベータは、街泊ではなくキャンプするほうが好きなようだったが、リューはどちらかというと、街中の宿のほうが好きだった。(すっかり
そもそも、リューは日本で生きていた頃は完全なインドア派だったのである。スポーツもそれなりにやっていたが、全て室内競技であった。
それは、リューには意外と潔癖なところがあり、汚れや汗が着いたまま寝たりするのが好きではなかったからである。インドアのスポーツでも汗はかくが、練習後は必ずシャワーを浴びて清潔な服に着替えていた。そもそもシャワールームがないようなスポーツは敬遠していたのだ。
そのような趣味や嗜好と言うのは、不潔な状態に弱いという体質的な理由があるのではないかとリューは考えていた。別にことさらリューが病気がちであったというわけでもなかったのだが。
その潔癖な性格は、当然、今回の人生でも引き継がれている。(前世の記憶・意識がそのまま継続してあるのだから当然である。)だが、この世界ではリューは衛生面で苦労する事はなかった。【クリーン】という魔法があったからである。
文化的には地球の古い時代に近く、衛生状態は悪そうに思えるのだが、この世界には魔法がある。強力な魔法は貴族しか使えないが、平民でも生活魔法は使えるのが普通なのである。
魔力がほとんどなくても、【クリーン】はリューも得意であった。少しでも汗をかいたり汚れたり、少しでも不快に感じたら、すぐにクリーンを掛けてしまえば良いのである。
風呂やシャワーなどが普及していない世界であったが、【クリーン】の魔法のおかげで地球よりも清潔なのであった。
そして、清潔な状態が簡単に保てるとなれば、アウトドアでの寝泊まりも、リューもそれほど苦には感じないのであった。
余談だが、若い男女が良い雰囲気になり、
そして、リューとエリザベータ。若い男女が一緒に旅しているのである。当然、それなりに距離は縮まっていた。
ただ、リューは意外と奥手だったのと、最初から師と弟子というニュアンスもあったため、思ったほど急激に仲は進展しずらかったのはあるのだが……
とはいえ、若い男女がずっと二人きりで居ればなるようになるわけで。結局、最終的にはそれなりの関係に至ったのであった。
― ― ― ― ― ― ―
次回予告
竜人能力まとめ?
乞うご期待!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます