第436話 村で住む家を整備
村長のケイトは、村の歴史なども簡単に教えてくれた。
かつて、この村は、辺境の開発のために国によって開拓されたのだそうだ。
この先には険しい山とその先には魔の森と言われる危険な魔物・獣が多い地域が広がっているだけで国などもない。
この村の先には、レスターとアネットの故郷であり、今は廃村となってしまったサビレタ村がある。サビレタ村は、この先の魔境を開拓し、魔物・魔獣の素材を手に入れる前線基地として開拓されかけたのだが、戦争が激化し、騎士や兵士は他国と隣接する戦線へと派遣されてしまい、開拓は縮小してしまったという。
その後、サビレタ村は防御が薄くなっている事を聞きつけた盗賊団に襲われてしまったのだが。開発途中で城壁はまだまだ未完成、簡易的な塀で囲われていただけで、騎士や兵士もほとんどいなくなってしまった村は、盗賊の襲撃にひとたまりもなかったらしい。
村の撤収の相談に出かけていた前村長(現村長の夫)もその時亡くなってしまったそうだ。盗賊が来なくとも、魔物に襲われる可能性もあったのだから、もっと早く、村人を全員トナリ村に撤収させていればと、村長は後悔していた。
* * * * *
さて、早速、買い取った教会と家の整備である。
教会はもちろん、シスターであるモリーに任せる。教会の隣の家も買い取ったのは、そこを孤児院として、レスターとアネット、そしてアリサ達を住まわせるためである。
孤児院ももちろんモリーの教会に面倒を見てもらうので、家と教会の間の柵を取り払い、連絡通路を取り付ける。これは、
教会と孤児院の、さらに隣の家も一緒に買ったのは、そこにリューとヴェラが住むためである。
最初のうちは、アリサが毎夜、転移でリューのベッドに潜り込んできたが、徐々にそれも収まり、アリサも孤児院のベッドで眠れるようになっていったのであった。
ヴェラは、孤児院を手伝いながら、教会でモリーと一緒に治療院の仕事をするそうだ。
前世で看護婦だった事もあり、ヴェラは病院のような仕事をしたいと思っていたらしい。
冒険者が怪我をして帰ってくる事も多く、この村には病院のような施設がなかったので大変喜ばれたのであった。
教会と家が整備されたなら、モリーに教師になってもらい、レスターとアネット、そしてアリサに勉強を教えてもらう日々が始まる。
アリサは幼い頃に奴隷ギルドに売られ、そのまま暗殺者ギルドに買い取られて暗殺者としての教育しか受けていなかったので、アネット達と一緒に基礎から勉強しなおしである。
アリサ自身も、勉強ができて本人も喜んでいた。ただ、相変わらずスケルトンに対する恐怖心は抜けないようで、レスターとアネットのスケルトン両親にも恐れてあまり近づかないのであった。二人はただレスターとアネットを暖かく見守る愛情深い夫婦なのだが。
レスターとアネットの両親は、子供達を見守りながら、教会の裏で畑を耕してもらう事にした。教会の裏には結構な広さの土地が余っていたので、そこもリューが買い取り、畑にしたのだ。
レスターとアネットの両親だけでは足りないので、スケルトン軍団から手伝いを出してもらう事にした。
教会の護衛もスケルトンが行っている。本来アンデッドは教会などの聖職者の光属性魔法とは敵対する存在なのだが……。
教会は
モリーが子供達に勉強を教えているという話を聞きつけた村長のケイトから、村の子供達も一緒に教えてくれないかと頼まれ、モリーの教会は村の学校兼病院のような位置付として受け入れられ、村の人達からも歓迎されたのであった。
そんな生活が落ち着いて来た頃、ふと、リューは思いつきで、とあるモノを教会の裏に植えてみたのであった。
それは、マンドラゴラである。マンドラゴラは高く売れる。これが栽培できるとなれば、かなりの収益が見込めるので、教会の経営はリューが居なくとも安泰となるだろう。
引き抜くと悲鳴をあげて、それを浴びた人間がショック死しかねないが、採集の方法はなんとか考えれば手はありそうである。
そんなある日、街の冒険者ギルドから使いがやってきた。
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次回予告
村にSランクの冒険者がやってきたという話だったのに、冒険者ギルドにまったく顔を出さないというのはどういう事ですか? あれですか? 見栄張ってSランクとか嘘ついちゃって引っ込みつかなくなってる感じ?
乞うご期待!
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