第413話 で、どうだった?
G 「一体、何を言ってるんだ?」
ギルド職員 「ですから。最後に出てきた “ホネホネ団” の冒険者が言うには、四階層までの魔物はすべて狩り尽くしたのでもう居ない、との事です。
現場にいる職員が兵士と一緒に確認に入ってみたのですが、たしかに、ダンジョンの中は空っぽの状態だったそうです」
G 「…スタンピードは?」
ギルド職員 「…さぁ?」
* * * * *
門の脇の通用口を開けてもらい、ダンジョンから出たリュー達は、職員に帰還報告をした後、馬車で街に戻った。
※シーラは、ライムラの街に姉の墓参りに行きたいと言っていたのだが、仲間が死んだ事を拠点にしていたロームの冒険者ギルドに報告しなければならないので、これからロームに戻るという冒険者パーティがたまたま残って居たので同乗させてもらい、一旦ロームに戻った。
街についたリュー達は、街の外で馬車を収納し、街に入ると、その足で冒険者ギルドに向かった。ギルド職員が報告に来て欲しいと言われていたためである。
ミィ 「ただいまリズ」
リズ 「ミィ! おかえりなさい! 心配してたのよ! スタンピードの兆候があるって報告が上がってたから…」
ミィ 「そ、そうみたいね…」
リズ 「そうみたいって、ダンジョン内で、大量の魔物が発生してなかった? 一階層だけでも万単位の魔物が出現していたって報告が入ってるんだけど?」
ミィ 「やっぱり、あれは、異常なほど、多かったわよねぇ…」
リズ 「よく無事だったわね」
ミィ 「なにせ、Sランクの冒険者が一緒だったから」
リズ 「そうよね!
ミィ 「そうなのよ……正直、私は、ほとんど活躍する場がなかったのよね…、万単位の魔物がいようが秒殺よ…」
リズ 「そんなに……?」
リズが目を輝かせてリューのほうを見た。
リュー 「なんか(魔物が)多いなぁとは思ったけどな。そういうダンジョンなのかと思ってた。事前にリズも多いって言ってたしな」
リズ 「いや、多いって言っても、千とか万とかの単位のつもりでは言ってませんでしたよ……」
実は、リューと同行したミィもかなりショックを受けていた。
あんなのは冒険者のダンジョン攻略と呼べるものではない。リューは、最初こそ魔物を斬って倒していたが、後半は……、ダンジョン内をただ歩くだけで、階層を苦もなく踏破できるのだ。リューは “収穫” と言っていたが、何をしているのか分からない第三者から見れば、散策しているだけに見えるだろう。
ミィと同じように、ヴェラもあまり働いていなかったように見えたが、しかしヴェラは魔法の達人で、その気になれば十分魔物を圧倒する力がある。それに、ヴェラはリューの姉らしいので、赤の他人の自分とは立場が違う。
ミィは、このパーティでの自分の存在意義に疑問が生じてしまったのであった……。
リズ 「あ、いけない、ホネホネ団が帰ってきたら、ギルマスの執務室に出頭させろって言われてたんだ。状況を聞きたいって」
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・
・
G 「お前たちが “ホネホネ団” か? 俺がこのギルドのマスター、Gだ」
リュー 「リュージーンだ。こっちはヴェラとランスロット。ミィは知ってるよな? 他のメンバーは今日は居ない」
G 「Sランクと聞いたが……、正直、あまり強そうには見えないな。まぁ見掛けで判断すると痛い目を見るのだろうな?」
リュー(小さく肩を竦め) 「さぁな?」
G 「いや、ダンジョンから帰ってきたばかりのところ呼びつけて悪かったな。で…、どうだった? ダンジョンは? 大変だったろう?」
リュー 「いや、大した事はなかったが」
G 「見栄を張らなくてもいい。ダンジョンにはスタンピードの兆候が報告されていた。異常なほど大量の魔物が発生していたと。無事に戻ってきたのはさすがSランクと言うところだが、Sランクと言えども手こずったんじゃないか? それとも、Sランクともなると、プライドがあるから手こずったなどとは言えないのか?」
リュー 「ものすごく大変だった、死ぬところだったって言えば安心するか? 別に俺の感想などどうでもいいだろう」
G 「そうだな、感想じゃなく、欲しいのは正確な情報だ。実際、どうだったのだ? スタンピードの兆候は、あったのか?」
ミィ 「…多分、魔物の数は、異常な量だったと思います」
G 「多分ってなんだ?」
ミィ 「いえ、おかしいとは思ったんです……でも、リューさん達が何の問題もなく斃して進んでいってしまうので、そっちのほうで呆気に取られてしまって…」
G 「それだよ。スタンピードが確実と報告されるほどの、
リュー 「ああ、大猟だったよ、なかなか良い収穫になるダンジョンだな。量が多すぎて売るのが大変そうだ、当分は狩りには行かなくていいかな」
G 「……一体どれだけ狩ったんだ?」
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次回予告
証拠? 持ち帰ってるぞ?
乞うご期待!
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