奴隷ギルド編
第366話 ダークフォークのリリィ
受付嬢に案内され入ってきたのは……
リュー達が旅の途中、馬車で一緒になったリリィであった。
リリィ 「また会ったね、リュー! ヴェラ!」
ユーセイ 「君達は知り合いだったのか?」
リュー 「知り合いというほどのものではないが…。王都に来る途中、馬車に乗せてやった事があっただけだ……リリリリとか言ったか?」
リリィ 「惜しい、リリリよ。言いにくいからリリィでいいって言ったでしょ」
リュー 「特別な冒険者なんだって?」
リリィ 「特別というか、長く生きてるから色々物知りだってだけだよ」
リュー 「まだ若いように見えるが…
リリィ 「女に歳を聞くなんて失礼なヤツだねオマイサン。まぁ気にするようなタマじゃないけどな。アタイは大まかに……四百歳くらいだよ」
ユーセイ 「え、六百歳近いって聞いてますけど…」
リリィ 「オマエ、サバ読んでる女の歳をバラすなんて、長生きできないよ?」
ユーセイ 「すっ、すみません」
リュー 「リリィは人間じゃないんだな」
リリィ 「アタイはダークフォークだよ」
リュー 「ダークフォーク? 聞いたことない名だ」
ヴェラ 「ダークエルフの血を継ぐ混血種の末裔と言われている種族ね」
ランスロット 「エルフほどではないですが、人間より強い魔力と長い寿命を持っている事が多いそうで。リューサマの知り合いにも一人居るではないですか」
リュー 「え? 誰のことだ?」
ランスロット 「ドロテア様ですよ」
リュー 「へぇ、そうだったんだ。たしかに、人間にしては魔力量が多いなとは思っていたが」
リリィ 「ドロテアか。顔と名前くらいは知ってるが、別に同族というわけじゃないよ。ダークフォークってのは、ダークエルフが混ざった亜人種族の混血種を総称しているだけで、そういう種族がいるわけではないんだ。なので人それぞれ特徴も違うし、寿命もどれくらいか、みんな分からんのさ。
そういうオマエ達だって、人間じゃないだろう?」
リュー 「分かるか」
ユーセイ 「そうだったのか?! どうりで……」
リリィ 「普通の人間じゃ見抜けないような偽装・認識阻害が入ってるみたいだけどね。アタイの目は誤魔化せないよ」
リュー 「俺は竜人らしい。ランスロット達はスケルトンだから、生物ですらないな」
リリィ 「竜人とは珍しい。アタイも長く生きているけど、一度しか会ったことがないよ」
リュー 「あった事があるのか?!」
リリィ 「五百年くらい前の話だけどね」
リュー 「竜人って、実在したんだ…」
ヴェラ 「アンタがそれ言ってどうする」
ランスロット 「リューサマ以外の竜人種というのは、少し興味がありますな。どれほどの能力を持っているのか……まぁ、リューサマは別格でしょうが」
リリィ 「別格ね…。しかし、ランクアップ試験を受けるとは聞いていたが、アタイが駆り出されるとは思ってなかったよ」(笑)
リュー 「そこまで話したか? よく覚えてたな」
リリィ 「Sランクになるとか夢みたいな事を大真面目に言ってたけど、まさか、本当にSランク認定まであっさり漕ぎ着けるとは、何者だいアンタ?」
リュー 「ただの田舎者の冒険者さ」
リリィ 「別格の?」(笑)
ランスロット 「では、リリィさんが模擬戦の相手をして下さるという事ですか?」
リリィ 「いやいや、アタイは戦わないよ? Sランク候補となんか戦ってたら身体がいくつあっても足りないよ。ギルド中央本部からは、確認してくれと言われただけで、戦えとは言われてないしね」
ランスロット 「ほう? それでは、どうやって……いや、何を確認なさるので?」
リリィ 「うん、それはな……まったくノープランだ」(笑)
リリィ 「会ってから考えようと思ってな、どうしよう? 正直困った、ユーセイ、どうしたらいい?」
ユーセイ 「そこで私にふられても。私じゃ判断できないからリリィさんが呼ばれたんでしょうが……」
リリィ 「オマエだって現役のAランクの冒険者で、しかも若くして王都のギルドマスターを任される英雄だ、そうだ、オマエが模擬戦やったらどうだ? アタイはそれを見て、判断するから」
ユーセイ 「ええぇぇ~」
― ― ― ― ― ― ―
次回予告
王都ギルドのエースと模擬戦
乞うご期待!
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