第355話 仮面と宿と冒険者ギルド

仮面について、リューがランスロットに尋ねて見ると、とっくに完成して既に着けているという。


リュー 「ええっと、つまり、今着けているその骸骨の仮面が、そうなのか?」


ランスロット 「そうですが…何か?」


リュー 「いや…やっぱり、骸骨なんだな~と思ってな」


ランスロット 「デザインについては不死王様に色々と希望を出しまして、なんども作り直して頂きました」


リュー 「そ、そうななんだ……(変わったように見えないんだけど…)、まぁ、認識阻害の効果がちゃんとあるならデザインについてはどうでもいいけど。じゃあ、それを着けていれば人間の街を歩いていても大丈夫なんだな?」


ランスロット 「はい。透明人間のような扱いにはされたくなかったので、認識阻害の効果は最低限にしてもらっていますが」


リュー 「……? それってどういう感じなんだ???」


ランスロット 「はい、この仮面を着けていると、骸骨の仮面を着けた変な趣味の人間と認識されます」


リュー 「ああ、“変な趣味” だって事は理解してるんだ……」


ランスロット 「素晴らしいデザインだと思っておりますが、生身の人間達の趣味とは合わないだろうという事は理解していますよ?」


リュー 「ってあれ? それだったら今までのただの仮面と何も変わらないような?」


ランスロット 「いえいえ、仮面の下は当然人間だと思い込み、疑問を抱かないようになっています。仮面の下の正体についてあまり興味を持たないようになってるわけですね。仮面に違和感を強く感じ、素顔を確認しようとする輩も居るかも知れませんから、そうならないようになっています」


リュー 「でも、仮面のデザインが骸骨なんだから、やっぱり今までと何が違うのかよく分からんが。まぁいいか」


ランスロット 「我々の発する “雰囲気” を抑える効果もありますので、これを着けていれば人間の中に居ても、同じ人間と思われ疑問には抱かれない、普通に人間として生活できる、と言う事ですよ」


リュー 「俺の仮面の認識阻害と同じ様な感じなのかな、仮面を着けていても素顔の状態と同じような感覚にさせる」


ランスロット 「リューサマのよりもっと効果が強力にしてありますが、そんな感じです。ただ、私達をスケルトンだと知っている人が、仮面を強く意識した場合は、当然仮面を認識するかも知れません」


リュー 「へぇ……」



  * * * * *



翌朝。


リューは王都の冒険者ギルドに向かった。


向かったのはリューとランスロット、パーシヴァル、エヴァンスの四人である。


(ヴェラとモリーは子供たちと王都観光に行った。一応、護衛はスケルトン兵達をつけている。スケルトン達は亜空間からヴェラ達の様子を見守っている。必要に応じて出てくるが、その場合も姿を見せずに透明なままでいるように命じてある。)


リューが王都に来た理由はいくつもあるが、最大の目的は(リューにとっての今の最大の関心事は)昇級試験を受ける事である。


実は、ランクアップについて、旅をしているうちにリューの興味は失われつつあったのだが。せっかく申し込んだ事だし、せっかく王都まで来たので、本当に興味がゼロになるまえに受けてしまおうかと思ったのである。


宿で冒険者ギルドの場所を聞いた所、王都の冒険者ギルドはなんと、東西南北4つに分かれているのだそうだ。(王都が広いため?)


それとは別に、国内のすべての冒険者ギルドを統括する中央本部というのもあるらしい。


リュー達は街の東側の地区に居るので、冒険者ギルド王都東支部に行ってみる事にした。冒険者ギルドはどこの街も比較的門の近くに作られているが、王都でもそれは同様で、東側地区の冒険者ギルドは東門の近くにあった。


扉を抜けると、他の街とそれほど変わらない冒険者ギルドの雰囲気があった。


受付カウンター、素材の買取カウンター、壁には依頼を張り出す掲示板、そして酒場が併設されている。



― ― ― ― ― ― ―


次回予告


そして、見慣れないリューに冒険者達の視線が集まる……


乞うご期待!



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