第352話 スラムの疫病騒動終決
テレス 「当たり前だ、今ジャスティン様もこちらに向かっている!」
オリゴール 「ほう? ジャスティン様が生きていると言ったか?」
テレス 「は!? これはオリゴール様!」
オリゴール 「どういう事だ? ジャスティン様は疫病に罹ったと報告が上がっているが? これまでのところ、疫病に感染して発症してしまった者の死亡率は百パーセントだ。つまり、発症したジャスティン様は助からないだろうとお館様にも報告してしまったのだぞ?」
テレス 「いえ、ジャスティン様は治りました。治療してくれて、治療法まで教えてくれた者がいたのです。…って、なんで先についてるんだ? オリゴール様、この者達です! 疫病の治療をし、治療法まで教えてくれたのは!」
オリゴール 「そう言われても、ジャスティン様が生きているのをこの目で見なければ信じられん」
ジャスティン 「この通り、僕は生きているよ!」
オリゴール 「これは、ジャスティン様……ご無事で何より。
…そうか、もしかして、疫病に罹患したという情報が間違いだったという事ですかな?」
ジャスティン 「違うよ、治療法が判明したんだ! あそこに居る者達が教えてくれたのだ! これでもう、病を恐れる必要はない! スラムを焼き払う必要もないのだよ!」
オリゴール 「…ジャスティン様がお元気になられたのは何よりです。お館様は、ジャスティン様が亡くなられたと聞いて、それは胸を痛めておいでで。疫病をこれ以上広めてはならんと、スラムを焼き払うよう命じられたのです」
ジャスティン 「もうその必要はないのだ。解決方法が見つかったと父上に伝えてくれ」
オリゴール 「確かなのですか…? …そうですか、分かりました。お館様には、ジャスティン様は生還されたと報告し、改めて指示を仰ぎましょう。帰るぞ、レンツォ」
しかしオリゴールは足を止め振り返るとジャスティンに尋ねた。
オリゴール 「その、解決してくれた、解決方法を教えてくれたという者の名前はなんというのですかな?」
ジャスティン 「ああ、あそこに居る者達だよ、確か、名前はヴェラとモリーと言った、シスターのようだ、きっと【聖女】なのではないだろうか」
オリゴール 「そうですか、そのようにお館様には報告しておきます。では」
リュー 「おいおい、ちょ待てよ。もう少しゆっくりしていけ。こんだけの事をしでかしておいて、責任も取らずに帰るのは許されんだろう?」
オリゴール 「なんだ、貴様は?」
レンツォ 「こっ、こら! オリゴール様に近づくな! オリゴール様は伯爵位を持つ貴族だぞ! 平民が気安く話しかけて良いお方ではないわぁ!」
リュー 「俺はさっき、殺されかけたんだが。スラムの人間達も、先程焼き殺されかけたんだが?」
オリゴール 「聖女とその護衛の者か? ご苦労であった! 礼を言うぞ。多少行き違いはあったようだが、此度の働きは、いずれ侯爵様よりお褒め頂けるかもしれん」
護衛と言われてランスロットが何か言おうとしたのをリューが手を上げて制した。
リュー 「……まぁいいかぁ。ジャスティン来たし。後は任せていいんだろう? 俺達はそろそろ引き上げるよ」
ジャスティン 「ああ、ご苦労であった、後は任せてくれ」
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オリゴールにレンツォ、そしてジャスティンも去っていった後、ランスロットが言った。
ランスロット 「行かせてしまってよろしかったのですか?」
リュー 「ああ、誰か、侯爵に解決したって報告させる必要があるだろう?」
ランスロット 「それは、ジャスティンにやらせれば良かった話では?」
リュー 「それもそうか。ジャスティンが来たのが遅かったので忘れてたよ」
ランスロット 「それに、リュー様を汚物呼ばわりして焼き殺そうとした者を、何もせずに生かして返すなど……」
リュー 「……ああ、そうだな、俺も大分変わったな。昔だったら、俺を殺そうと襲ってきた奴は赦しはしなかったか? だが……殺すのは、俺にとっては優しいほうの処置なんだぞ? それは今でも変わってないな。簡単に殺してしまうのは、簡単に楽にしてやる事でしかない。生きたまま後悔させるほうが重い罰だろう。死ぬより、生きるほうが辛い事もあるものさ、そう思わんか?」
ランスロット 「我々に任せて頂ければ、死んだ後もキッチリ地獄を見せてやりますぞ?」
リュー 「ああ、そういう方法も今はあるな」
ニヤッと笑ったリュー。
リュー 「それに、攻撃してきた連中は、命令されて従っただけだろうからな。軍隊ってのは命令に逆らえないもんだ、それは仕方なかろう。まぁ、治療して貰ったとは言え一度は手足を切り落とされているのだ、まぁ罰としてはそのくらいで勘弁してやろうかなと」
ランスロット 「しかし、その、命じた者達は無罰で帰してしまいましたぞ? しかもリューサマを汚物呼ばわりしたあの隊長、なんでしたら、私のほうでお仕置きしておきましょうか?」
リュー 「…そうだな、奴にも少しお灸を据えてやるか」
リューが遠くを見るような目線を投げかけると、リュー達の前にレンツォが転送されてきた。
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次回予告
お仕置きしちゃうぞ
乞うご期待!
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