第344話(再投稿) 井戸の守護像撃破 ~ 治らない疫病


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※前話があまりに読みにくかったようなので、ノーマルバージョン再投稿です。内容は同じなので読まずに飛ばして頂いても問題ありません。


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井戸は、蓋がされ厳重に封印がされていたが、問題なのはその封印の上に乗ったガーゴイルの像であった。


近づこうとすると、目から電撃が飛ぶようだ。


スラムの男が試しに枝を拾って投げてみると、地面に付く前に電撃を浴びて弾き飛ばされてしまう。枝は焦げ、裂けていた。


リュー 「面白い魔道具だな。だが……、俺が行く。ミィ、下がっていろ」


ミィ 「リューさん、危ないですよ、雷の速度は見て避けられるものじゃないと聞いてます」


リュー 「電気の速度は光の速度だって聞いた事があるからな、見て避けるのは無理だろうな。だが、避ける必要もない」


リューが無造作に井戸に近づいていく。電撃が放たれリューの身体を打つが、まったく意に介さずリューは進んでいく。リューの身体の周囲には次元障壁が張り巡らされている。たとえ雷であっても次元の壁を超えられない以上、リューに届く事はないのである。


リューがガーゴイルの像に触れ、持ち上げてみると、背中にレバーがあったのでそれを下げてみたところ、ガーゴイルの像は動かなくなった。


リュー 「面白い玩具だ、もらっとこう」


もう一度レバーを上げると、起動し、しばらく経ってから電撃を発し始める。おそらく退避時間を設定してあるのだろう。遠隔で止めるにはリモコンのようなものもあるのだろうが、なくてもリューなら問題ない。


リューは亜空間に像を収納すると、井戸を封印していた鍵を破壊した。


スラムの男達が歓喜して駆け寄ってくる。


念のため、リューは井戸の水を神眼で見てみたが、特に病原菌や毒素などが入ってる事はなかったので、問題ないだろう。


リュー 「すっかり遅くなってしまった、宿へ帰るぞ」


スラムの男、略してスラ男 「あんた、ありが……おい、消えちまったぞ?!」


ロナ 「なんだったんだ、アイツラ?」


スラ男2 「夢……じゃねぇよな……?」




   * * * * *




宿に戻ったリューとミィ。もうヴェラ達の夕食は終わっていたが、リューとミィのために食事を別途用意してくれていた。それを食べながら、今日の出来事を話したリュー。


ヴェラ 「どこに行ってたのかと思いきや、そんな事してたのね」


モリー 「さすがですリュー様。行く先々で人を助けていますね、救世主みたいな人ですね」


「やめてくれ、俺は人々を助けて回る気などない。この世界にどれだけ貧しい者、不幸な者が居ると思ってる? それをすべて救う事などできはしない。それはこの世界の人間達それぞれの問題であり、各地の領主や王族貴族が解決すべき問題だ。俺にそれをどうにかする義務なんかないよ。


俺は、気まぐれに自分と関わった人間に手を貸す事があるというだけだ。ただの気まぐれだよ、慈善家になる気はない」(リュー)


ヴェラ 「人間、それでいいんじゃないの? すべての人を助けられれば素晴らしいけれど、それは無理だものね……」


明日一日は、街を少し見て回り、明後日には王都に向けて出発するつもりであったが、翌朝、問題が起きて予定は大幅に狂ってしまった。


ミィが高熱を出して寝込んでしまったのだ。


スラムに行ったことで、ミィも疫病に感染してしまったのだ……


無論、治癒魔法でミィの病状はすぐに良くなったのだが……


【鑑定】(という名を騙っているが本当は【神眼】)で見てみたところ、リュー自身もどうやら感染してしまっていたようだ。


ヴェラ 「あんたは熱でないの? 体調は……悪くなさそうね」


リュー 「ああ、俺は人間じゃないから、感染しても発症しないのかも知れないな」


ヴェラ 「じゃあアタシも大丈夫かしら。モリーは……」


モリーを【鑑定】してみるヴェラ。すると、やはり感染が発覚した。モリーはただの人間なので、まだ発症はしていないようだが時間の問題かも知れない。


ヴェラはモリーに【ヒール】を掛けてみる。しかし、再度鑑定してみても、感染の状態は変わらない。


リューにも【ヒール】を試してもらうが、感染は消えない。【ハイヒール】や【エクスヒール】を掛けても同様であった。


リューは自分自身に治癒魔法を掛けてみたが、変わらず感染した状態のままなのであった。


ヴェラ 「もしかして、ヒールでは、未だ発症してない潜伏期間中のウイルスは消せないということ……?」


リュー 「体内に居るだけで悪さをしていないウイルスは、治癒魔法では除去できないということか?」


ヴェラ 「もしかして! ヒールでウイルスも元気になってしまうのでは……」


ヴェラはウイルス自体を【鑑定】してみたところ、やはりウイルスが活性化してしまっているようだった。


ヴェラ 「なるほど、これじゃぁ、感染が広がる一方なわけね……」


モリー 「ウイルスってなんですか?」


過去世の記憶があるリューとヴェラはウイルスや細菌についての知識があるが、この世界の人間は当然そんな事は知らないのである。


ヴェラ 「“微生物” と言って、この世界には、人間の目には見えないほど小さな生物がいるのよ。その微生物が食べ物を腐らせたり、身体に入って病気を起こしたりするの」


リュー 「厳密に言うと細菌とウイルスは違うものらしいけどな」


ヴェラ 「そういう細かい事はいいのよ。言ってもこの世界の人にはよく分からないでしょう。こういう事は専門の私に任せて、リューはちょっと黙ってなさい」


リュー 「ハイ、スミマセン…」



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次回予告


解決方法は…?


乞うご期待!



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