第115話 ハリスのクーデターに立ちはだかる者…
頭を抱えた王
王 「それで、ハリスは今どこに
宰相 「いえ、王子は敵軍に街を明け渡した後、ビエロを出、既に王都に戻っている模様です」
王 「ならばすぐにハリスをここへ呼べ!」
宰相 「既に呼びに行かせております、
ちょうどそこに、ハリス王子が到着したとの連絡が入った。
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王の指示で、ソフィ達は慌てて玉座の間の控室に隠れた。まずは王と宰相だけでハリス王子と会う事にしたのであった。
ハリス 「父王陛下、お呼びにより参上致しました。本日はいかがされましたか?」
王 「いかがじゃと? ハリスよ、お前にはビエロの防衛を任せておいたはずじゃ。何故ここに居る?」
ハリス 「ビエロの街は平和ですので、多少離れても問題ないかと……」
王 「ビエロはチャガムガ共和国の軍に占拠されたと報告が入っておるぞ! その際、我が国の騎士団は一切抵抗することなくチャガムガ軍に街を明け渡したと聞く。その話、相違ないか?」
ハリス 「ああ、その事ですか。それは誤解ですよ。チャガムガ共和国は侵攻してきたわけではない、友好国として、軍の駐留を受け入れたのです。」
王 「……何を言うておる?」
ハリス 「共同で街を守るのです。友軍ですから戦闘する必要などないじゃないですか?」
宰相 「そのチャガムガ軍が、ビエロの街を基地として軍備を整え、周辺の街に侵攻しているとの報告が入っておるのですぞ。これは明らかな侵略行為です」
王 「既に街が三つ陥落したと聞いておる。現在、
ハリス 「王よ、チャガムガと友好を深め、協力していくべきだと以前から何度も申し上げてきたではないですか。チャガムガ軍を受け入れ、余計な抵抗をしなければ無駄に血は流れませんよ」
ハリスが何を言ってるのか理解できない王と宰相。ハリスは頭がおかしくなってしまったのかとさえ思う。
ハリス 「もともとこの国の半分はチャガムガのモノであったのを、我らの先祖が奪い取ったと言うではないですか。チャガムガの国民であれば子供でも知っている歴史です。私はそれを知った時、恥ずかしくて仕方がありませんでしたよ。王よ、過ちは正しましょう! 領土を返し、チャガムガの民に謝罪し、許しを乞うのです」
王 「愚かなハリスよ……それはチャガムガ共和国が捏造した歴史じゃ……」
宰相 「この国の領土がチャガムガのものであった歴史はありませぬぞ……」
ハリス 「それこそが、我ら王家の先祖が捏造してきた歴史でしょう!」
ソフィ 「いい加減にするのじゃ、兄上」
その時、控室からソフィが飛び出して叫んだ。
ハリス 「ソフィ?! おまえ……私がプレゼントしたネックレスはどうしたのだ?」
ソフィ 「隷属の首輪は外したぞ、もう妾は操られはせぬ!」
王 「ハリスよ……捏造の歴史を信じ、敵軍を導き入れたお前は、国家反逆罪で裁かれる事になるぞ」
宰相 「外患誘致罪は重罪ですぞ、有罪ならば死罪となりますぞ」
ソフィ 「父上、唆していたのはギルという男じゃ、隷属の首輪はギルが主人として登録されていた! そしてハリス兄に従うように命じられたのじゃ!」
王 「ギル? ハリスが近年、側近として採用した者じゃな? ビエロの街で登用し、王宮に連れてきたと聞くが、
ハリス 「私は洗脳などされてはおりませぬ……もういい、面倒だ。知られてしまったら仕方がない。王よ、あなたには引退して頂く。国は私が引き受ける」
ハリスが手を上げると、室内に大勢の騎士がなだれ込んで来た。ハリス王子の私設騎士団である。
宰相 「クーデターか!」
王 「王宮の騎士団はどうしたのじゃ?」
宰相 「申し訳ありません、防衛戦に少しでも多くの戦力を注ぐため、城には最低限の人数しか残しておりませんでした」
ハリス 「城に残ってた
王 「お前が私設騎士団を作っているという報告は聞いていたが、資金源が謎であった。チャガムガの資金だったか」
ハリス 「俺の騎士達は、8割以上がチャガムガの戦士だ。この国の騎士より優秀な者が多いぞ」
王 「なるほど。だがどうする? ここでワシを殺したとしても、王国貴族達が黙っておらぬぞ?」
ハリスがニヤッと笑い、顎で合図した。
すると、騎士が開けた扉から、貴族達がゾロゾロ入ってくる。
ハリス 「こちらの貴族の方々は、私が王となることに賛成して下さっている方々だ。これから、ガリーザ王国は、チャガムガとひとつになり、ますます発展していくのだ!」
王 「愚かな男よ……愚かな者たちよ。国を明け渡してどうするというのだ……蹂躙され皆殺しにされ滅亡するだけだぞ……」
ハリス 「チャガムガの姫を私の妻として迎え入れる約束となっている。チャガムガの王族とガリーザの王族はひとつになり、私が王となって国を統一するのだ」
宰相 「なんと愚かな……そんな約束が守られると思っているのか……」
ハリス 「さぁ、古い王よ、
王 「お前に王位を譲る気はない」
ハリス 「私にとっては血のつながった父だ、できれば殺したくなかったのだが……抵抗するのなら殺すだけだ」
騎士達が一斉に剣を抜いた。
ソフィ 「できると思っておるのか?」
控室からマリーとベティ、アリスが飛び出して来て王とソフィの前に立ち剣を抜いた。(剣はリューが収納してあったモノを渡しておいた。)
ハリス 「ふん、たった三人で何が……」
だが、控室から出てきたもう一人の人物がゆっくり歩いて来る。
その人物の顔を見て、ハリスが顔を引き攣らせた。
ハリス 「……リュージーン……」
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次回予告
ハリス騎士団の前に立ちはだかるリュー
乞うご期待
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