第4話 糸

私の指から伸びる糸が、ある日ぷつりと切れました。


糸が、意図が、誰の意図が。私の糸を。切り離した。

私がやっとの想いで結んだ糸を、こんなにも簡単に。


へたりとへちゃりと、糸が垂れて地面に落ちる。

その糸は誰かに踏まれ、汚い色に染まりました。


赦さない、そう憤ることもなかったけれど、

ただ切なさと儚さが、私の指を包みました。


まだ顔を見てもいなかったのに。

まだ声を聞いてもいなかったのに。

まだ、出会ってもいなかったのに。

私は、声も出さず、涙も流さず。


ただ残念だったと息を吐くのです。

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