俺達は悪くない
俺達は悪くない
その頃、残された新米パーティは魔方陣の前で呆然としていた。
ローパーの方はあの幼い紋様族の少女が消し炭にしてくれたおかげで助かったし閉じられた扉も元に戻っていた。
だがよりにもよってパニックになった仲間が助けてくれた二人を連れてあからさまな罠にしか見えない魔方陣に入って消えてしまい、途方に暮れている。
「こ、これ、どうすんのよ」
女戦士は慌てた様子で残された二人にどうするかを問う。
どうやら彼女一人では判断が難しいらしい。
「どうするって……それは……と、とにかく入口に戻って報告を!」
魔術師がなんとか答えを見つけ、二人は首を縦に振り戻ろうとする。
「待てって」
慌てて戻ろうとした女戦士と魔術師をバンダナが無くなってしまった盗賊が止めた。
「どうやって報告をするつもりだ。まさかルートを逸脱した挙げ句の出来事と言うつもりか?」
「だってそれは本当のことだし……」
「だがもしそれを言ったら俺達は確実に試験に落ちんだぞ」
盗賊は極めて冷静にそう言った。
「でも、私らはあの子の魔法のおかげで助かったんだぞ。まさかあのような魔術師がこんな在野にいたとは……」
既にボロボロのローブになっている魔術師は強力な魔術を目の前で見て、悔しそうな、それでいて嬉しそうな複雑な表情だった。
「それは俺も感謝している。でも、いいのか落ちたら冒険者にはなれない。つまり働き口を失うってことだ」
「そ、それは……」
盗賊のその言葉に魔術師と女戦士は何も反論出来ず口を噤んでしまう。
「確かに悲しい出来事だが冒険者になるってことはそういうことだろ? だからまずは俺達はやるべき事をして、その上で報告をしよう」
「で、でも……」
「わ、分かった」
最後まで迷う女戦士だったが、魔術師が盗賊の提案を受け入れると渋々彼女も受け入れるのだった。
まだ出会って間もない彼らは仲間との絆は薄く俺様男を見放したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます