そしてダンジョンへ
そしてダンジョンへ<Ⅰ>
即席の6人パーティとなって階段を降りると俺達はダンジョンに足を踏み入れた。
「これがダンジョンの内部なのか……」
地下だが薄らと天井が輝いていて確かに灯りがなくても問題ない。
自然に出来た洞窟ではなく真っ直ぐな壁に真っ直ぐな天井、床には継ぎ目のような線があり、まるで大昔のゲームの3Dダンジョンの様相だった。
正確に計ってはいないが床はおそらく正方形をしており、その一辺はおおよそ4m天井までの高さも同じくらいだと思われる。
予めサーチで調べておいたマップを見るときっちりとした形をしておりまさにゲームマップそのものであった。
言われたとおり床には赤い矢印が書いてあり、その通りに進めば辿り着くようになっていた。
それを見て彼らではないが、もしかして本当に簡単なんじゃないかと思えてくる。
「それじゃあ進むぞ。お前達ちゃんと付いてこいよ」
「ちょっと待てって」
偉そうに俺様男が先陣を切って歩こうとするが、それを盗賊が止めた。
「なんだよ!」
「罠とかあるかもしれないだろ。別にお前が串刺しになるのは構わないが、それで俺が試験に落ちたらかなわん」
そう言って盗賊の兄ちゃんがパーティよりも少し前に出て罠などを探りだす。
『この辺に罠なんてあるのかな』
(さすがにダンジョンに入って直ぐに罠なんてあるとは思えないけど、確かに警戒するにこしたことはないだろ)
『でも慎重すぎない?』
(そこは俺もそう思う)
盗賊の兄ちゃんが確認している間、まだかなと待っている間に他のパーティが降りてきた。
「どうしたんだ?」
降りてきたパーティは俺達が入口辺りにたむろしているのを不思議に思ったのか声をかけてきた。
「いや、罠とかないか調べているんだが……」
「ふーん、そうか頑張ってな」
魔術師の言葉に、すぐさま興味を失った彼らは盗賊が調べている通路をそのまま歩き去って行く。
「……………………」
取り残された俺達は全員言葉を失うか、何も言葉が出ない状態になってしまう。
「んだよ。やっぱり何も……ぐえっ!」
余計なことを言いそうになった俺様男を女戦士がシールドで後頭部を殴って黙らせた。
「だ、大丈夫……そうだな……」
「あ、ああ、こ、ここには何もなさそうだ……先に進もう」
なんとか平静を保った魔術師の言葉に動揺が隠しきれていない盗賊の兄ちゃんがそう提案してきた。
「そ、そうね……」
それに女戦士も相づちを撃つ。
「んだよ。最初から俺はそう言って……痛ってぇえ!」
やはり余計なことを言いかけた俺様男に今度はシールド縁で小突いた。
ちなみに俺の後ろに隠れて必死になって笑いを堪えているのがいるが、そっちはあえて無視しておこう。
数カ所の分岐を矢印の案内どおりに進むこと20分。
奥の方が開けているのが見えた。マップを見る限り部屋っぽい場所で中から何かの反応があるのが分かる。
おそらくモンスターで入口で言われていたスケルトンだろう。
静かにしているとカラカラと乾いた音が聞こえてくる。
「中に何かいる……」
「敵か!」
待ってましたとばかりに大きな声を出す俺様男。
「バカっ、大声出してどうするのよ」
デルが俺様男に突っ込む。
「よしっ、戦闘開始だ! 行くぞ!! おりゃああああ!!」
「え、えー!?」
俺様男は吠えながらその部屋に飛び込んでいく。そんな大声出したら奇襲にもならないし、それにもしかしたら先に入っている他のパーティかもしれない。
仕方ないとばかりに、女戦士も追従し、盗賊と魔術師も手に武器を持ち少し遅れて同じように付いていく。そして置いていかれる俺達だ。
「どうするのよ?」
「まあ、言われたとおり邪魔にならないように後ろに控えていれば良いんじゃないかな」
どうせ相手はコボルドやゴブリンよりも更に弱いボーンゴーレムなので、それに負けることはないだろう。
そういって二人して部屋に入ると、ちょうど俺様男が大声を上げながら何故か剣を上段に構えて跳びかかるところだった。
「おうりゃああ!!」
がいんっ!! がしゃんっ!!
「なんか乱暴な攻撃方法だけど、あれって有効なのか?」
「勢いがある様に見えるけどほとんど意味はないね。あれじゃ腰が浮きすぎでせっかくの長剣の威力を減らしているからむしろ失敗って言えるかも」
さすが接近戦もできる魔術師、やっぱりあまり意味はないのか。
とはいえ骨人形の方は結構脆いらしく、不格好な攻撃でもあっさりと破壊されてしまう。
「それにあんな真正面から見え見えの攻撃なんてアティウラだったら速攻で返り討ちにされてるよ」
「いやアティウラが相手だったらちゃんとしてても難しいだろ。もしデルだったらあの攻撃はどうなんだ?」1
「僕? うーん……多分負けないと思う」
確かに俺様男の戦いを見る限りデルの動きに付いていけるとは思えない。
などと考えている間に10体近くのボーンゴーレムが次々と骨の塊にされていった。
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