あっしと俺っち<Ⅳ>
「そんな!?」
説明が終わると、今のところみんなと同じ驚き方だった。
「そうなんだけど、そろそろここから場所を移動した方がいいかな」
説明も終わり何時までもここにいるのは得策じゃないと思われる。
「あ、うん、少し待って」
疲れが残っているのか少しおぼつかない足取りでよろよろとしながら最初に切り離されたトロルの巨大な頭に近寄ると、それに向かって斧槍を突き立てた。
がいんっ!
「い、一体、何を?」
「トロルがいた証拠」
そう言って獣のぶっとい角みたいな犬歯を無理矢理引き剥がすと、今度は自身の衣服を脱ぎ始めた。
「ちょ!? え、今度はなに!?」
「臭いを消す」
確かに臭いけど、そんなの後でもいいんじゃ。
「彼奴らは非常に鼻が利く」
「そうなの!?」
アティウラはそれまで何度もトロルの首のなりかけを斬りまくっていたので当然のように沢山の返り血を浴びている。
「だったら俺がヤツの今の居場所を探すよ“コンソール”」
サーチだけでは簡易に距離くらいしか分からないので、コンソールを出して詳細に調べることにした。
「な、なにそれ?」
「これも俺の特殊な能力の一つ。“サーチ”トロル。半径10km範囲」
コンソールの異様さに少し引き気味のアティウラだったが、俺は気にせずともかくサーチを続ける。
「えーっと、さっきの2匹を追いかけている1体と……これがさっきのトロルで……そこから離れたところにもう1体のトロルの反応がある……距離にして大体3km位の場所かな」
「ま、まだトロルが?」
サーチの結果に驚きの声を上げるアティウラ。
「攻撃魔法とかは使えないけど、こういうのだけは使えるんだ。MPに余裕があるから広域で詳細に探せるのが利点かな」
まあ厳密にはこの指輪のおかげなんだが、説明が面倒なので俺の能力としておく。
「信憑性は?」
「もちろん魔法の結果だし、それに今のタイミングで嘘をつく意味はないと思うけど」
それでもまだ信じられないらしく腕を組んで目を瞑って悩んでいた。
「あー、あんまり良い情報じゃないかもしれないけど、どうやらもう1体のトロルのところには他にも魔物達が集まっているみたい」
「分かるの!?」
「ま、まあ……」
「……早く村に戻らないと」
頭痛のように額に手を置いて肩を落とすアティウラ。
村ってのは人間の村なのかな。そうだったら俺としても非常に助かる。
などと考えていたら、彼女は目の前でメイド服に手を掛けて躊躇いなく脱いでいく。
メイド服の下には金属と革製の胸当てが出て来てそれも外す。
がちゃ……。
「ちょ、うわぁ!?」
インナー姿となり、それも脱ぎかけると見えてはいけない素肌がチラリと露出した。
「別に見てもいい……でも荷物から服をお願い」
「え……あ、うん分かった」
そう言ってアティウラは川の方に歩いて行く。
周りを見渡すと彼女の荷物と思われる背嚢が置いてあった。
一瞬女性の荷物を開けて良いものかと躊躇うが用意しておけと言われたので開けてみると色々な荷物が整理されて入っていた。
中身を探ると下の方に服っぽいものがあり出してみると、それも同じメイド服であった。予備があるんかい……。
あれ……?
メイド服と一緒に小さめの布を落としてしまう。
「なんだこれ……」
それを拾って拡げてしまう……これって下着じゃねーか! うわぁこれ隠すところ最小限じゃね? ヒモも付いているけど、これで落ちねーの?
「じゃなくて……」
思わず見入ってしまったがこれも必要だろうと何事もなかったようにメイド服と共に持って向かうとアティウラはちょうど川に入るところだった。
脱いだメイド服はそのまま川に投げ込んでしまった。勿体ないと思ったがトロルの返り血で汚れているしので持って行けば臭いを辿られる。
なるべく見ないようにと努力をしてみるが、何せ綺麗な人なのでどうしても目が行ってしまう。
日本と比べるとこの世界の女性は裸を見られることにそこまで気にしていない。まあだからってマジマジと見ていたらさすがに怒られるだろうけど。
すらりとした綺麗な身体を隠すこともなく下着も脱いで素っ裸になると川の中に入って身体を洗い始めた。
惜しむべくは俺の立っている場所ではほぼ背中とお尻しか見えない。
それにしても川の水は結構冷たいと思うんだけど、彼女はなんともないのだろうか。
「……くしゅん!!」
あ、やっぱり冷たいのか。
全体的にほっそりとした感じで、よくあんな巨大な武器を振り回せているよな。
それでいて出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる。
綺麗な曲線を描いたおっぱいがちらちらと見え、その大きさがなんとなく分かった。
……うむ、先ほど胸当てでももしやと思ったが、やはりセレーネ超えの大きさかもしれない。
川の中の浅瀬に座り込んで身体に付いた返り血などを洗い流していく。さらにアップにまとめた髪の毛を下ろすと、長く綺麗なストレートヘアになった。
「おお……」
上げていた髪の毛を下ろした瞬間てなんともいえない何かがくるな。
そして髪の毛を洗い始めるが途中で面倒になったのか全身を一気に洗い流そうと川の深いところに行って潜ってしまった。
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