玉さん、これからよろしくⅡ>
中身を確認するためにとりあえず全部出してみることにする。
取り出すのにMP1を常に求められてくるのが面倒だったので、今後は了解を求めないってチェックボックスをオンにしてみた。
出て来たのはテント、椅子、ベッド、寝袋などのキャンプ用品みたいなものや干し肉や塩漬け肉などの保存食が大半だった。
調理器具的なものはほとんど入っていない。どうやら料理は苦手らしい。火はどうしていたんだろうか。魔法でどうにかしているのか。
珍しそうなものは、オリジナルの玉さんが書いたと思われる手記、指輪、後はペーパーナイフ? そして瓶に入った薬のようなものが数点。
『瓶に入っているのはポーションだ。青いのがDルポーションで緑がCポーションだ』
「ポーションって、傷とかを治すやつか」
青いのが10本ほど、緑が2本入っている。
『青は軽傷を癒す程度で緑はそれより強力だ。だが目や腕を失った場合は傷の回復はするが機能は戻らないから気をつけろ』
「まじか。これはありがたく使わせてもらうよ」
『小さな杖はわりと良いものだが残念ながら私に帰属が付いているからただのガラクタだ』
「それは残念だ。じゃあこっちの指輪も帰属が付いていてダメか?」
『こちらはレア度が低いアイテムだから魔力を使えば帰属解除が可能だ。君の魔力はどれくらいだ?』
「俺? 俺は、今は……6万くらい」
『は? な、なんだと!?』
「なんだったらステータス見てみる?」
見えるのかどうか知らないが、ステータスを表示してみる。
『……こ、これは、どういうことだ? 人間サイズの限界を超えているではないか』
「済まないが俺自身が一番分かっていない。どうも宇宙人のおっさんが肉体を修復するときに設定を色々と間違えたらしい」
『それだとしてもだ……。どうやら色々とこれまでの価値観を変えないといけないようだな』
「それでこの指輪は何が使えるんだ?」
『指輪には魔法が仕込んであって、素人でも魔力さえあれば使える』
「まじか!? それでそれで?」
『使えるのはサーチ、ディテクト、そしてコンソールだ』
「……なんかその単語ってどう聞いても攻撃に使えなさそうなんだけど。しかもなんか似てる気がする」
『バカなことを言うな。サーチは周囲を探索する魔法であらゆる対象を探し見つけることが出来るのだぞ』
「そうかぁ?」
『ディテクトは目標の詳細な情報を引き出す魔法だ。生物やアイテムに場所にかけられている魔法なども分かる』
「あ、それは便利そうだな」
『そしてコンソール。これは言わば裏モードで通常の魔法使いが使えない魔法で、こちらがむしろ重要な機能だ』
「うーん普通の冒険者には凄く有用っぽいけど、俺だと役に立つかね」
『この魔法の価値はそれだけじゃない! これらの魔法で世界の秘密すら見つけられるのだぞ』
「まじで?」
『私はこれらの魔法を駆使して、ある一つの真実に気がついたのだ』
「それ凄いことじゃないか。で、どんなこと?」
『それは……いや、既に君の方が世界の真実を知っているから意味がないな』
「そうっすか」
何もないよりは使えることもあるだろうと指輪をはめてみる。
【このアイテムは帰属されています】
【帰属を解除するにはMP30が必要です】
OK。
【帰属解除】
【アイテムを貴方の帰属にしますか?】
OK。
【アイテムが帰属されました】
右手の中指に、白銀色の指輪が輝く。
うーん、なんか恥ずかしい。
日本にいたときはアクセサリとかは付けたことがなかったしな。
「ちょっと試しに魔法を使ってみるか」
『ならばディテクトで杖を調べてみたらどうだ』
「なるほど……、“ディテクト”“魔法の杖”」
テーブルの上に置いた魔法の杖に手をかざしてディテクトをかけてみた。
・杖(ワンド)+2:帰属済み。
オプション:低位の魔法を3つのスロットに入れておける。入力時に魔力を必要とするが使用時は魔力を必要としない。使うとスロットは空く。
「お、なんか便利そうな杖だな」
杖といっても、魔法使いがよく使っている大きなモノではなくナイフ程度の大きさだけど。
『夜に内に魔法を入れて置くと、次の日に魔力の消費無しに使えて便利なのだが……、まあ君には全く必要のないものだろう』
「もしかしたら魔法使いになれるかもしれないじゃないか」
『そういう希望はあるだろう。ディテクトは多く魔力を消費することで、より詳細な情報を得ることが出来る』
セレーネがターンアンデッドでやったのと同じことか。
「“ディテクト”えっとじゃあ適当に100倍……」
・杖(ワンド)+2:帰属済み。
帰属者:セキ
材質 :ミスリル
制作 :魔導国家
「本当だ。さっきよりも更に詳しい情報が出て来た」
『……驚いたな。軽く100倍とか使うとは』
「どうせ消費とか1だけだしいいかなって」
【コンソールモード】
「なんか下にコンソールモードとか出てんだけど、これはなに?」
『いきなり裏モードが見つけられたのか』
「裏モード? まあいいか。“コンソールモード”」
自身で開いた魔法だし、爆発とかはしないだろうとモードを開いてみる。
すると宙に浮いた半透明のモニターが俺の前に展開した。
更に手元にはキーボードが現れ、さながらパソコンのようだった。
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