決着<Ⅱ>

「でしたらポータルで登録してスペルキャスターになれば魔法を使いたい放題になりますね」


「そうか、それだ!」


「あれでもMPが異様に高いのは分かったけど、どうしてMPの分け与えるんて出来るんだ?」


「それはわたくしにも……キスをしてMPを貸すとか渡すって魔法や生物の話は聞いたことがありません」


「うーん……、だったら俺固有の能力なのか」


「もしそうだとしたら、なんというか少々エッチですよね……」


「な、なんだよ。そんな目で見るなよ。俺だって好き好んでこの力を貰ったわけじゃないんだし!」


「確かにそうですが、能力って願望が根本にあるって話は聞いたことがあります」


「なにそれ?」


「強くなりたいと願えば、戦士向きの能力を得るって話です」


「え、まじで? じゃあ……キスしたいって願望でこうなったってこと?」


「いえ、全くの冗談ですけど」


「ぬがー!」


「ふふっ、申し訳ありません、勇者様が結構強引でしたのでそのお返しです」


「全くもう、あんまり驚かすなよ……あ、それよりセレーネの方は大丈夫か? 分け与えられた側に代償はないのか」


「たしかにそうですね。確認してみます……ステータス」


 レベル:25

 HP :020

 MP :434(ただし430MPは貸与のため回復致しません)


「……えっと特にステータス異常はないみたいですね……わっ!? でもなんだか凄い数値になってます」


「本当だ。MP500を与えて、70くらい使ったって感じかな」


「はい。あり得ないくらい大盤振る舞いで使いました」


「それなら今後アンデッド相手なら無敵だな」


「無敵は大袈裟ですが今回程度の相手でしたら問題ないかと思います。ですが、出来れば勇者様の方法でアンデッドを天に戻してあげたいです」


「なるべくそうしよう。でもワイトみたいな上位種は難しいと思う」


「もちろんですが、あの……」


「なに?」


「も、もしMPを分けていただくためには毎回……そのキスをしないといけないのでしょうか」


「あ……そ、それは……そうなのかな……」


「あ、あの、もしキス以上の……ことをしたらどうなるのでしょう」


「え、キス以上?」


「はい……その、愛し合う男女の営み……も、もう……それ以上言わせないでください」


 うわぁ……恥ずかしがるセレーネがなんか……。

 凄く可愛い。


「つまりえっちなことをしてみるってことか」


「も、もう! は、はっきり仰っちゃダメです!」


「ふふっ……」


 照れてる顔がまじでパナイくらい可愛い。


「……もしそうしたらどうなるんだろうな」


「あ、あの……た、試してみますか?」


「な!? な、なにをバカなことを言ってんだ。それじゃ、してもいいって言っているのと同じだろ」


「わたくしは勇者様がお相手でしたら問題はありませんけども」


「こ、こらこら、あんまり思わせぶりなことを言うなって、男ってのは勘違いしやすい生き物なんだからさ。ましてや君のような綺麗な子は尚更だ」


「そ、そうですね……申し訳ありませんでした。今後は気をつけます」


「……あのー、仲睦まじいところ申し訳ないのですが」


「え? あ、あれ?」


 いつの間にか砦長や兵士達が近くに居た。

 ネクロマンサーと思われる相手も縄で縛って捕らえていた。


「ご、ごめん、大丈夫だった?」


「怪我人は出ましたが、聖女様のおかげで死者は出ませんでした。この者は途中で逃げようとしましたが、脚もおぼつかない状態で直ぐに捕まえることが出来ました」


「それは良かった。多分そいつが今回の主犯だと思うから明日からアンデッドの心配はしなくて大丈夫じゃないかな」


「それは誠でしょうか?」


「一応、明日いっぱい様子見をしてみよう」


「分かりました! 聞いたか! 我らの大勝利だ!」


 兵士達がわーっと口々に歓喜の声を上げるのだった。

 はぁ、やっと終わったんだな……。


 はぁと力が抜けて俺はそのまま地面に突っ伏した。

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